もう1つは、応募者は、募集期間の前のほうは少なく、後のほうが多いのです。面接する側は、早く届いた履歴書は時間をかけて見ます。後のほうになると、時間をかけて見ません。当然、時間をかけて見たほうは「この人は何かいいところがありそうだ」と気付きやすくなります。後のほうは応募者が多いので、時間をかけて一人一人の履歴書を見ることができません。
一生懸命見たら何かいいところが見つかる可能性があったのに、時間がないために、いいところに気が付かれないで落ちてしまうのです。応募期間が設けられているものは、1番に応募する人が、次のチャンスをつかんでいけるのです。
1年間の仕事は、「4月にはこれをして、12月にはこれをして」と、シーズンで決まっているものです。年1回の仕事は、「今年はこうだったから、来年はこうしよう」と思っているうちに、直前になります。
私も、年1回のイベントを引き受けている仕事があります。イベントが終わった後、スタッフに「今年の反省をすぐしよう」と言います。何度言っても、次に連絡が来るのは1年後のイベント直前です。結果として、いろいろ変えたいことがあっても、「今からでは時間的にムリです」と言われます。
イベント直後に反省をしない理由は簡単です。「まだ1年ある」と思っているからです。実は1年ないのです。
年1回のイベントは、終わって1カ月以内に反省をしなければ、すぐに翌年の1カ月前になるのです。イベント後1カ月以内に反省をしていれば、残り11カ月をかけて準備ができます。
翌年の1カ月前まで放っておいたら、「そもそも何か反省すべきことはあったかな」と思い出すところから始まります。そのころには、ほとんどのことは忘れています。その結果、毎年、イベントが進歩することはありません。
年1回のイベントは、毎年進化していくから、より盛り上がるのです。そのためには、即、今年の失敗の反省会をして、改善点を洗い出し、来年に向けての準備を始める必要があります。
岸和田のだんじり祭は、閉幕の翌日から、来年の準備を始めます。それでも、あっという間に1年がたつのです。現役で落ちた浪人生も、「来年の試験まで1年ある」と思いがちです。受験も、翌年の試験まで実質1年ありません。ボヤボヤしていたら、すぐに1カ月前です。
変われない人は、いつも「1カ月前だ。ああ、もう間に合わない」という状況になるのです。
同じ時間をどう使うかで、差がつくのです。
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は、『自分を変える 超時間術』(リベラル社)など、1,000冊を超す。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授