最初は、考えるには「広げる」と「深める」があるということです。
「広げる」とは、可能性を考えていくこと。いままで存在しなかったものを生み出したり、新しい価値をつくったりしていくことでもあります。
「深める」は、本質的価値を考えていくこと。「そもそも」を考えることでもあります。
この「広げる」と「深める」を別々に考えていくことが大切です。「考える」を順序だてて行うことで、何を考えればいいかが明確になり、頭の中のモヤモヤが解消できるのです。
「広げる」と「深める」にはいくつかの方法があります。「広げる」であれば、「かけあわせ法」「数珠つなぎ法」「ずらす法」「脱2択」「まとめる法」「あったらいいな」などの方法が、「深める」であれば、「360度分解法」「ポジティブ価値化」「自分ゴト、あなたゴト、社会ゴト」「すごろく法」「正体探し」「キャッチコピー法」などがあります。
例えば、いまある商品やサービスの売上が落ちてきているので、売上を上げる新しいプランを考える場合。「ずらす法」や「360度分解法」が使えます。
いま話題のワークマンは作業服だけでなく、アウトドアの分野に市場をずらして大成功しました。僕らが出版している本の中にも市場をずらしてベストセラーになった本があります。「『のびた』という生きかた」(アスコム)という本です。この本は若手ビジネスパーソン向けだったものを小学生の読書感想文用の1冊にずらし、40万部の大ヒットになりました。
やり方は簡単です。お客さんの声を丁寧に聞き、そこにヒントを見つけながら、届ける対象者をずらしたり、商品の使い方をずらしたりする。それだけです。
その際、気をつけたいのが、お客さんの声を丁寧に聞くということです。思い込みだけでは間違えるときがあります。まずはお客さんの声を聞き、そこからずらす先を見つけていってください。
その他の考える技術に関しては「パン屋ではおにぎりを売れ」に書いてあります。興味があれば、ぜひご一読ください。
これからの時代はますます変化が激しくなり、昨日までの成功体験が今日はもう効かなくなっていることも多々あります。この時代を生き抜くために必須なのが「考えられる人材」です。どんな状況になろうが、どんな変化が起きようが、その状況に合わせて考えていけることは、これからの時代にマストなスキルではないでしょうか。ぜひ、この本を役立たせてください。
編集者。1968年生まれ。東京都出身。慶應義塾大学文学部卒業。読売広告社を経て出版業界に転職。現在、株式会社アスコム取締役編集局長。長年、雑誌と書籍の編集に携わり、これまで企画した本の累計発行部数は1000万部以上、10万部を越えるベストセラーは50冊以上に及ぶ。特に実用書のジャンルで数々のヒットを飛ばしている。
現在は本の編集だけでなく、企業のクリエイティブコンサルティングや事業構築のサポート、講演やセミナーの講師など多岐にわたり活動中。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授