第8の習慣 「私」はではなく「われわれ」を考えるドラッカーが教える成果をあげる人の8つの習慣(2/2 ページ)

» 2021年03月16日 07時04分 公開
[山下淳一郎ITmedia]
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 話し合いの場は、それぞれが自分の意見を自由に発言できる状態になるまで、社長は発言を控えることをお願いしたい。社長は、経営チーム内の全員に責任感をもたらすことが仕事だからだ。

 あなたが取締役であれば、私はあなたにこう伝えたい。あなたは、「私」ではなく「われわれ」であり続けなければならない。それが取締役の役目だからだ。また、たとえ自分の考えに自信がなくても保守的になりすぎてはいけない。誰かが必ず補完してくれると信じて進もう。

 また、「発言すること」に責任を感じているかもしれない。しかし、「発言しないこと」にも責任はついて回る。あなたは成果をあげるために、自分の考えを理解してもらわなくてはらない。成果をあげるために、あなたは強く要求しなくてはならない。あたなの献身が、経営チーム内の全員を責任ある存在に導いていく。成果をあげる人はそれを習慣にしている。

身に付けなければならないもの

 成果をあげるにはどんな性格が理想なのだろうか。成果をあげるにはどんな強みが必要なのだろうか。成果をあげる人はどんな弱みを克服したのだろうか。成果をあげる人に共通する価値観は何だろうか。成果をあげる人が固く信じていることは何だろうか。成果をあげる能力は身に付けることができるのだろうか。

 ドラッカーはこう言っている。

成果をあげるには、性格、強み、弱み、価値観、信条はいかようであってもよい。なされるべきことをなすだけでよい。確かに生まれつき成果をあげる人もいる。しかしわれわれは、生まれつきの才能に頼るわけにはいかない。成果をあげることは習慣である。したがって、他の習慣と同じように身に付けることのできるものである。そして身に付けなければならないものである。

ピーター・ドラッカー

 この8回の連載を何度も読み返し、何度も実践してほしい。それがやがて習慣になるからだ。成果をあげる人は8回にわたって伝えたことを習慣にしている。

 ありがとうございました。感謝!!

(参考文献:次の書籍の中から一部引用させていただいた。『経営者の条件』『ドラッカー5つの質問』)

著者プロフィール:山下淳一郎 ドラッカー専門の経営チームコンサルタント

ドラッカー専門の経営チームコンサルティングファーム トップマネジメント

東京都渋谷区出身。ドラッカーコンサルティング歴約33年。外資系コンサルティング会社勤務時、企業向けにドラッカーを実践する支援を行う。中小企業の役員と上場企業の役員を経て、ドラッカーの理論に基づいた経営チームをつくるコンサルティングを行う、トップマネジメントを設立。現在は上場企業に「経営チームの研修」「経営幹部育成の研修」「後継者育成の研修」を行っている。 

著書に『ドラッカーが教える最強の後継者の育て方』(同友館)、『ドラッカー5つの質問』(あさ出版)、『新版 ドラッカーが教える最強の経営チームのつくり方 』(同友館)、『日本に来たドラッカー 初来日編』(同友館)、『ドラッカーが教える最強の経営チームのつくり方 』(総合法令出版)、『ドラッカーのセミナー』(Kindle)、『ドラッカーが教える最強の事業承継の進め方』(Kindle)がある。主な連載に『ドラッカーに学ぶ成功する経営チームの作り方』(ITmedia エグゼクティブ)がある。ほか多数。


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