岩瀬氏は、「ADHDのタイプで、不注意優勢型は女性に多く、混合型が約60%です。多動症同性優勢型は、高学年で半数が寛解するといわれています。多動衝動性に関しては、“待つ”という戦略が必要です。ADHDは、割合が高く、米国で7〜9%、日本で5〜7%です。このうち60%が大人まで症状が継続します」と話す。
不注意に関する考え方として、定型と同じ行動を身につけるにはどうすればよいかという発想では失敗することが多い。特性的にできないことがあることから、できる範囲でついていこうとする。特性の中で必死に生きる方法を探った結果、カモフラージュするので、それを認めて一緒に考えることが必要になる。
岩瀬氏は、「脳に刺激を与えながらだと集中しやすいことが分かっているので、手で何かをいじりながら勉強する、“あと何秒!”などカウントダウンをすることを検討してみてください。短いタスクに分割して、何回も報酬を与えることも有効になります。ADHDに関しては、治療薬も存在しているので、医療機関で診断してもらうことも有効です。ASDも、ADHDも、うつ病や双極性障害、不安障害、強迫性障害、睡眠障害、物質依存、アルコール依存、ゲーム依存、PTSDなど、40〜50%は合併します」と話している。
大人の発達障害の当事者には、職場はどのように見えているのか、周囲はどうするとよいのかいくつか事例を紹介する。
マルチタスクが苦手なので、どうすればよいか分からなくなります。スマートフォンなどを利用して、忘れない仕組みを作ることが必要。重要なことは色を変えるなど分かりやすくすることも有効。
論理的に話をすることで、あっさり納得してくれることもある。
チェックシートを作り、同僚とペアを組ませることで、やるべきことを1つ1つ確認する。
最後に発達障害の一般的対応として岩瀬氏は、「医療機関を受診して正しい診断を受けること、一人一人に適した環境調整を行うこと、自分の特性について学び、得意、不得意を知ることで、学校や職場における適応を改善することなどが重要です。得意な部分を生かし、苦手な部分をカバーして、問題となっていることに対策や工夫を考え、実践していくことも必要です」と話している。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授