そのように目標にとらわれた状態だと、目標から外れると自分を責め、部下を責め、焦り、余裕を失い、考え方も凝り固まり、感謝を忘れ、本来の力を発揮できなくなります。
しかしそもそも目標から外れることは、悪いことなのでしょうか?
目標から外れても、自分も周りの人たちも幸せになって、より大きな目的が達成できれば、問題は無いはずです。それなのに、目標から外れたという事実にのみ過剰反応して、何とか元の軌道に戻さなければと必死になるのは、エネルギーの無駄遣いです。無駄遣いだけならともかく、自分を責めたり、相手を責めたり、余裕を失ったりすれば、それは仕事のパフォーマンス低下に直結します。
また目標にとらわれると、身の回りに起きている素晴らしい奇跡に気付かなくなります。目標達成に関係ないことを排除してしまうからです。
わたしたちの身の回りには、素晴らしい奇跡が日々起きています。そうした奇跡や偶然の出逢い、運命の導きに身を任せていると、当初想定していた目標をはるかに超えた素晴らしい道が開けてきます。
わたしは、基本的に目標は設定していません。年初に「今年の目標」を立てる方も多いでしょうが、わたしはそういったことはしません。2010年を振り返ってみても、年初には想定もしていなかった素晴らしい奇跡的な出来事が相次いで起きました。
もしわたしが目標にこだわっていたら、そのような奇跡に気付かず、こんなに素晴らしい1年にはならなかったでしょう。目標を手放すとは、目標を持ってはいけないとか、目標を無視しろ、ということではありません。
目標を持っても、目標にとらわれない、ということです。目標と現状を比較してギャップを埋めるためのアクションプランを策定する、というのは悪いことではありませんし、有効に機能することもあります。ですから目標を無視するのではなく、目標を持っても、そこにとらわれない、ということが大切です。目標にとらわれて、自分を責めたり、相手を責めたり、余裕を失ったりしてしまうのがもったいない、ということです。
そして天命を生きるとは、自分の生命を輝かせる生き方をすることです。それは、自分の魂の声に正直になり、自分の本当に大切なことを本当に大切にするということです。この点についても詳述する余裕はありませんが、天命を生きるためには瞑想が有効です。わたしはコンサルティングの中で瞑想を取り入れていますが、瞑想を通じて自己と対話することで、誰でも魂の声にしたがって生きられるようになります。
このように、目標を手放して天命を生きることが、仕事での素晴らしい成果につながっていきます。そのような生き方、働き方が、新しい時代のリーダーに必須の条件になってくるでしょう。
1975年生まれ。一橋大学商学部経営学科卒業。大学在学中に公認会計士第二次試験に合格。その後、同三次試験に合格し、公認会計士登録。大学卒業後、外資系コンサルティングファーム勤務を経て、証券会社の投資銀行部門でM&Aや資金調達、証券化等のアドバイザリー業務、グローバルマーケッツ部門で地域金融機関への提言業務に従事。その後、公認会計士天野敦之事務所を設立し、財務会計の視点から、人の幸せと企業の利益を両立させるためのアドバイスを提供。多くの企業の業績改善を実現している。また、チベットサポート・チャリティセミナーの開催、歌手やヨーガ講師など異業種とのコラボレーションセミナーの開催など、公認会計士の枠を超えさまざまな分野で意欲的に活動中。主な著書に、日本で一番売れている会計入門書30万部ロングセラー 『会計のことが面白いほどわかる本』(中経出版)など。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授