■説明 Guide
低音トレーニング、略して「低音トレ」は、その名のとおり横隔膜を使って低い声を出すためのトレーニングです。低い声は、特に1対1の対話の場面で、落ち着きと安定感をもたらします。上司として、あるいは交渉相手として「この人は信頼できる」と相手に思わせる要因のひとつが、落ち着いた低い声なのです。
低い声といわれても、「自分はどれくらい低い声が出るのか分からない」という人も多いと思います。ここで紹介する「低音トレ」は、ボイストレーナーがいなくても、自分なりの低い声をつかむことができるトレーニング方法です。
ここでは「ポルタメント」と呼ばれる方法を使います。ポルタメントとは、音から音に移るとき、なめらかに音程を変えて2つの音をつなげる方法です。あくびをするとき、「ふわ〜ぁ」と音が下がっていきます。「ド、シ、ラ、ソ、ファ、ミ、レ、ド」と一音一音区切るのではなく、「アーーーー」と声をのばしながら下がっていくイメージです。
ポルタメントを使う理由は3つあります。
(1)低い声の確認
高い音から低い音へ徐々に下げていくことで、楽器などを使わなくても、簡単に自分の低い声の下限が分かります。
(2)声帯の筋肉をゆるませる
声帯は筋肉の動きによって声の高さを調節して発声しています。ギターの弦をゆるめるように、声帯の張りを調節する筋肉を柔軟に動かし、リラックスさせることで、低い声が発声しやすくなります。
(3)響きやすくする
キンキンと甲高い声を響かせるのはわりと簡単です。ポルタメントは、まず高い声を響かせてから低い声に下げていくことで、知らず知らずのうちに、響きを保ちながら低い声を出すことができるのです。
■効果 Benefits
ポルタメントを使えば、高い声しか出ない人でも、無理せず低い声を獲得できます。落ち着きがあって、知的で、リーダーシップを感じさせるのが低い声です。男性なら、福山雅治さん、玉木宏さん、向井理さん、のような声です。女性だと、天海祐希さん、真矢みきさん、江角マキコさん、竹内結子さん、アナウンサーの井上あさひさん(NHK)のような声です。
最初ははっきり声を出して自分の声の低さの位置を確認します。慣れてきたら、ボリュームを絞って小声でやってもOKです。
【手順1】足を肩幅に広げまっすぐ立ちます。左手を肋骨の下のお腹に当てます。右手は伸ばして手のひらを上に向け、頭の上にかかげます。
【手順2】顎を下げて口を開け、ゆっくり大きく息を吸います。舌先が下の歯にさわるくらいの位置です。
【手順3】「はあ!」と高い声を響かせてから音を切らずにそのまま「はあ〜〜〜ぁ」と音程を下げていきます。同時に、右手は声の高さにあわせて弧を描くように下げていきます。左手もお腹の張り返しを強く意識してください。
【手順4】低い声に達したら音程はそのままで「あ〜」とのばします。右手も低い位置のままです。
【手順5】息が切れたら、ふたたび口を開けて手順2に戻ります。これを5回繰り返します。
第3回は、交渉やコミュニケーションに強くなる低音トレーニング「低音トレ」でした。このトレーニングを次回までに週3回〜毎日行ってみて下さい。繰り返し行ううちに、今まで出なかったような低い声が開発されていきます。第4回では、「リーダーは低い声で話せ」のまとめになります。
ボイストレーナー、音楽指導者、 ピアニスト。
桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ専攻卒業。国内外での演奏会開催多数。2005年 混声合唱団設立、代表に就任。合唱指導・ボイストレーニング指導の経験を基に、「ビジネスリーダーのためのボイストレーニング」「合唱チームビルディング」などの企業向け研修を提供。また企業経営者向けに「エグゼクティブ・ボイス・トレーニング」を提供、多くの社長たちの声を変え続けている。その活動は、NHK総合「サキどり↑」(2013/6/2)、週刊誌AERA(2013/11/25)、文化放送「オトナカレッジ」出演(2014/1/8)など、メディアでも話題になっている。
また、2013/2/26のITメディアエグゼクティブ勉強会では、60名以上の企業に勤めるマネージャーが参加した。音楽をテーマに毎日投稿を続けている「永井千佳の音楽ブログ」では、230名以上のブロガーを抱えるITメディア・オルタナティブブログでアクセスランキング月間1位を継続中。特にボイストレーニング関連のアクセスが多く、はてなブックマーク2000 超えを達成したエントリーもある。
主な著書に、「DVD付 リーダーは低い声で話せ」(KADOKAWA 中経出版)がある。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授