AIを活用して組織の生産性を上げるための、はじめの一歩ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2017年08月10日 07時06分 公開
[藤野貴教ITmedia]
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では何から始めればいいのか。はじめの一歩

 なぜ、日本のビジネスパーソンはテクノロジーに関するリテラシー(知識・経験)を持っていないのか。その問題の根源は、「テクノロジーはエンジニアや技術者が知っていればいいこと」と思ってしまっていることにある。だからこそ、「非エンジニア」に対してテクノロジーを「知る」「使う」「創る」機会を積極的に作っていくことが、経営者には強く求められる。

 AIのことを知らないから、「AIが人の仕事を奪うのではないか」と漠とした不安を生んだり、「AIは何でもできるんでしょ?」と、むやみに高い期待を持ったりしてしまう。その中で、いざAIを仕事に導入しても、「なんだよ、こんなことしかできないなら、使えないじゃん」となってしまい、せっかくのAIは使われないままに放置されてしまう。

 AIは、初めから賢いわけではなく、「使われる」ことでデータを蓄積、学習して、予測の精度を上げていくのにも関わらず、本質を理解しないまま社内に導入しても、結果はうまくいかない。そんなことがこの数年のうちに日本各地で起き始めるだろう。

 まずは、経営者やエグゼクティブが、AIを中心とするテクノロジーのリテラシーを高めること。その次は、管理職だ。「テクノロジーは若いやつに学ばせる」というのは既成概念。今、目の前の成果・マネジメントに全力を尽くすからこそ、視野が狭くなるという葛藤を感じている管理職にこそ、視野を広げる機会を作ってあげてほしい。

 結局のところ、AIはツールである。人の仕事の一部をAIやロボットに代替させ、人の仕事を楽にさせる。そこで生まれた時間や、脳のCPUのバッファを活用して、「人間にしかできない仕事」に取り組む。その方が、仕事も楽しくなる。

 「生産性を上げる」という目的のその先にあるのは、「仕事が楽しくなり、個人や組織が成長し、企業として世の中に価値を提供できる」というビジョンである。そのビジョンを経営者が語り、自らが率先して、テクノロジーを使いこなせるリーダーになっていくことが、2020年までの日本に求められていることだ。

著者プロフィール:藤野貴教

働きごこち研究所 代表取締役 ワークスタイルクリエイター

アクセンチュア、人事コンサルティング会社を経て、東証マザーズ上場のIT企業において、人事採用・組織活性・新規事業開発・営業MGRを経験。2007年、働きごこち研究所を設立。「ニュートラルメソッド」を基に、「働くって楽しい!」と感じられる働きごこちのよい組織づくりの支援を実践中。「今までにないクリエイティブなやり方」を提案する採用コンサルタントとしても活躍。グロービス経営大学院MBA(成績優秀修了者)。2015年より「テクノロジーの進化と人間の働き方の進化」をメイン研究領域としている。テクノロジーの最前線を「主婦でも分かる」ようなかみ砕いたことば、たとえで話すことを得意としている。

著書:2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方(かんき出版)


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