「マジメ」から「クリエイティブ」へ――どうすればクリエイティブになれるのか?ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2018年07月05日 08時34分 公開
[松波晴人ITmedia]
前のページへ 1|2       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 しかし、実際には全ての人が「クリエイティブになれる素質」を持っている。なぜか。

 あなたはコトバを話せるだろうか? もちろんだろう。だからこの原稿を読んでいる。ならば大丈夫。クリエイティブになれる素質は十分にある。

 学校に行く前の幼児期に、あなたはコトバを話せるようになるプロセスで、「どんどん情報を取り入れ」「解釈し直し(=リフレーム)」「コトバを結び付ける(=統合)」を、必ず実践している。つまり、あなたは人生において、リフレームと統合を実施してきた実績が既にあるのだ。

これから「場」と「仲間」はどう作るのか?

 クリエイティブになるためには、「好奇心」や「勇気」が必要だ、ともよくいわれる。それは正しい。しかし、その種(タネ)は全ての人が持っている。しかし、その種が芽を出すには、それ相当の環境が求められる。必要な「土」や「光」に相当するのが、「場」と「仲間」なのである。

 一方、今皆さんが働く組織の環境はどうなっているだろうか?

 場が、仮面ライダーの悪の組織ショッカーのように、同じ服を着て同じように「イー!」と言わなければならない環境であれば、それはクリエイティブな環境と対極にある。また、仲間がいない、いたとしても意志がバラバラであれば、それは「桃太郎が一人で鬼が島に挑む」ようなものであり、こちらもクリエイティビティは発芽できない。

 「新しい価値をどう発想し」「どう組織で意思決定するのか」のForesight Creationのプロセスを描いた著書「ザ・ファースト・ペンギンス 新しい価値を生む方法論(講談社)」では、主人公が仲間とともに8つの玉を1つずつ手に入れながら新しい価値を生み出していく。まさにクリエイティブになるには何が重要か、という物語である。

 クリエイティブをうたう以上、書籍自体をクリエイティブなものにしたい、との思いから、絵と文章を統合したり、読者が折り紙をするミッションがあったり、本の帯を使っての謎解きがあったりと、さまざまなチャレンジを施している。これらを実現するために、デザイン・プロデュースとしてziba tokyoの平田代表に参画してもらった。

 まさに、本稿の趣旨である「マジメ」から「クリエイティブ」へのリフレームを「本」として体現しようとしているのである。

 この物語においても、カモミールという「安心してボケられる場」と、ジョージ君やアートさんやメタちゃんといった「志を同じくする仲間」が、重要なファクターとして登場する。

 今後は働き方も大きく変わるだろう。第一歩は兼業が許容されることだろうか。そうなれば、まるで学生時代のクラブ活動のように、「同じ意志」をもとにしたコミュニティーに集まって、クリエイティビティを学び続けられることになるだろう。

 私はそういう場を、Foresight Schoolを起点として作っていきたいと考えている。そうすれば、皆さんも「場」と「仲間」を得ることができる。

 マジメからクリエイティブにリフレームするための場は、これからあちこちにできてくるのではないだろうか。

著者プロフィール:松波晴人

大阪ガス行動観察研究所 所長。オージス総研 行動観察りフレーム本部。大阪大学共創機構産学共創本部招へい教員。1966年生まれ。神戸大学大学院工学研究科修士課程修了後、1992年に大阪ガス入社。米国コーネル大学大学院にて修士号(Master of Science)、和歌山大学にて博士号(工学)を取得。2005年、行動観察ビジネスを開始。2016年から大阪大学でForesight Schoolを主宰。著書に『ビジネスマンのための「行動観察」入門』(講談社)、『「行動観察」の基本』(ダイヤモンド社)、寄稿に「ハーバード・ビジネス・レビュー『行動観察×ビッグデータ』特集」、『ザ・ファースト・ペンギンス 新しい価値を生む方法論』(講談社)がある。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆