理不尽が多い人ほど、うまくいくビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2018年07月26日 08時25分 公開
[中谷彰宏ITmedia]
前のページへ 1|2       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 それは自分の理解が足りないからです。または、先にラーメンが来た人は感じのいい人で、自分は不愛想だったのです。誰でも感じのいい人のところに先に持っていきたくなります。扱いに差がつくのには原因があるのです。それを「自分は何も落ち度はないのに、後まわしにされた」と怒っているのです。

 愛想が悪く「自分はカネを払っている」という態度が、すでに落ち度です。人間がすることなので、好かれるか嫌われるかで順番が入れ替かわるのは当然です。ラーメンが早く来て欲しいなら、感じよくすればいいだけのことです。

 理不尽だと騒いでいる人は、「原因がないのに自分が損をこうむっている」と思っています。「理不尽」と言っている間は、自分がその原因を作っていることに気付くことができないのです。

 理不尽を理解するキャパを、身に着けることです。

学校では教わらない理のことを、理不尽と呼ぶ

 学校ではロジック(理屈)を教わります。「原因があって結果が生まれる」というのが、ロジックです。

 社会に出ると、理不尽なことがたくさんあります。それは学校では教わっていません。理不尽だと騒いでいる人は、「小学校のルールを適用してくれ」と騒いでいるのと同じです。

 小学校はシンプルなルールで成り立っています。大人のルールは、もっと複雑です。大人のルールを知らずに小学校のルールのままで判断して、「理不尽だ」と言っているのです。

 あらゆる場所で、その場その場のルールがあります。小学校では、「ルールはこれです」と言われてルールブックを渡されます。社会にはルールブックがありません。どこの壁にも、その場のルールは貼っていません。社会のルールは、自分で見抜いていくものです。「聞いていない」と言いますが、そもそも教えてくれないのです。小学校は、先に「こういうルールですよ」と教えてくれます。

 社会では、その場における暗黙の了解があります。みんながそのルールで動いています。それを見抜くことが大切です。それを見抜けなくて聞いていないと騒いでいるのです。

 小学校のルールをそのまま適用しようとしても、ムリがあります。人生で一番の衝撃は20代で起こります。社会のルールは複雑です。それを小学校のシンプルなルールにムリに当てはめようとすると、理不尽まみれになるのです。

 社会のルールは誰も教えてくれないので、自分で見抜いていくしかありません。それに気付けた人は、理不尽が理不尽でなくなります。「こんなのルールなしじゃないですか」と言うのは、ただルールが見えていないだけです。

 見えていないルールにいかに気付くかです。20代のうちに理不尽体験をたくさんしておくのは、いいことです。30代、40代になっても小学校のルールのまま通そうとしていると、もっときつくなるのです。

 20代で、理不尽をできるだけ多く体験しておくことです。理不尽が多いことは、不運なことではありません。社会には、「理不尽なこと」と「理不尽でないこと」があります。「理不尽なこと」もあるのではありません。「理不尽でないこと」も、たまにあるのです。

 基本は、「理不尽なこと」です。「理不尽なこと」は、当たり前なのです。「理不尽なこと」に、いちいち眉を逆立てない人が、大人なのです。「理不尽なこと」をたくさん体験していると、理不尽に強くなります。「理不尽なこと」への対応方法の引き出しを、増やしていくことができます。ということは、理不尽なことに、多く遭遇する人が、理不尽に強くなって、うまくいく人なのです。

著者プロフィール:中谷彰宏 作家

1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。

【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。

著作は、『「理不尽」が多い人ほど、強くなる。』(きずな出版)など、1050冊を超す


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆