重要なのは声のコーディネート――エグゼクティブにふさわしい魅力的な声を手に入れるITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)

» 2018年09月26日 08時05分 公開
[山下竜大ITmedia]
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 首や肩のコリが解消されるだけでも声が響くようになる。また、呼吸を止めないくせをつけること、口ではなく、鼻で呼吸するクセをつけることも必要だ。首肩のストレッチの次は、顔のストレッチを紹介した。

 まず手を頬にあて、もちをこねるように頬をこねる。次に顔のパーツをクシャおじさんのように全て真ん中に集め、さらに全てのパーツを思い切り開く。これの動作を繰り返すことで、顔の筋肉がほぐれ、表情筋が鍛えられる。

 声を出すには、ただ口を開ければいいわけではない。喉を開くことも重要になる。正面を向いて「あー」と声を出しながら上を向くと喉が開き、声が変わるのを確認できる。そのまま戻すと喉が開いた感覚が分かる。冬に手が冷たいときに手に息を吹きかける吐き方がのどを開いた息の吐き方である。

声の5大要素を意識することで表現の幅が広がる

 声を表す要素として、(1)大きさ、(2)高さ、(3)リズム、(4)間(ま)、(5)音色の5つを意識すると表現の幅が広がる。声の5大要素は、聞こえ方のアプローチで、音楽で言えば楽譜のようなものだ。

 例えば、一定の声の大きさで話すよりも、大事なところだけを大きな声で話したり、逆に小さな声で話したりすることで、より言いたいことが強調される。リーダーシップを発揮したい場合、高い声より低い声で話をした方が効果的である。逆に若いイメージ、エネルギッシュなイメージを出したい場合は、少し高い声で話してみると効果的だ。

 リズムは、早い、遅いである。例えば、大阪の人は早めのリズムで話をするが、京都のようにおっとりしゃべるリズムもある。同じリズムで話すのではなく、大事なところをあえてゆっくり話すことも効果がある。リズムは文節の強弱であり、間は文節と文節をつなぐタイミングである。意識的に間を開けることで、注目を浴びることもできる。

 音色は、声帯によるもの。声帯は、人それぞれ違うが、響かせる場所を変えることで、音色を変えることができる。喉でしゃべる、胸でしゃべる、鼻に抜くなどで変化するのが音色である。オペラなどは、カラダ全体を共鳴させ響かせる。声の5大要素を組み合わせることで、同じ言葉でも伝わり方が変わってくる。

 2つ目のワークショップでは、5大要素を組み合わせて、最初のワークショップで作った自己紹介をあらためて録音した。まずは1つの要素、次に2つ、さらに3つと、要素を増やしていくことで、変化を確認する。ポイントは、各要素を極端に表現することである。

最初に録音した声とはあきらかに違いが

 3つ目のワークショップは、曲にあわせて自己紹介をするゲームである。曲を聞いた自分のイメージで自己紹介をすると、普段は使わない話のテンポが感じられる。このゲームを繰り返すことで、自分の話し方に広がりができる。次に、声の視覚化ゲームを行った。

 声は目に見えないが、声のキャッチボールで視覚化できる。短い距離だと「おい」、長い距離だと「おーい」、遠くに山なりに投げて「おーーーい」といったイメージで、エアキャッチボールをする。これにより、声の距離感をつかむことができる。ボールを、野球のボール、バスケットボールなど、変えてみるのも効果がある。

 「役者が舞台で演じるときには、会場全体に声を届かせなければならないので、非常にパワーを使います。皆さんのスピーチやプレゼンテーションの場合は、マイクを使うことが多いので、ここまで頑張る必要はありませんが、伝えたいイメージに見合ったエネルギーを出す練習は必要です」(井上氏)

 井上氏は、「最後に録音した声は最初に録音した声とはあきらかに違い、声が豊かに変化しているはずです。今日は、客観的に自分の声を聞いてみることからスタートし、最終的には自分の声にどのような変化があるのかを体験してもらいました。これには正解はありません。怒られるときに大きな声で怒鳴られるよりも、静かに怒られる方が怖いことがあるのと同じです。どのように表現するかは、人それぞれの感性です。自分の感情、意思を、どのように表現すると、より伝わりやすくなるか、声のコーディネートが重要になります」と締めくくった。

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