福田首相も公式の場で言及するなど、IT業界の枠を越えて広がりを見せているグリーンIT。単なる一過性のブームではなく、業務の効率化を目指す上で重要なコンセプトだという。
「グリーンITに関して多くの誤解がはびこっている」。テックバイザージェイピーの栗原潔代表は、6月24日に開催された経営層向けのセミナー「第9回 ITmedia エグゼクティブ ラウンドテーブル」で講演し、企業はグリーンITに対する取り組みをタスクではなく戦略としてとらえるべきだと述べた。
グリーンITは、米国のベンダーを中心に2006年ごろから使われるようになった言葉で、昨年あたりから日本でも広まってきている。在宅勤務やテレビ会議の導入で交通機関の利用を減らし、二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガスを抑制する「ITを活用したグリーン化」(広義のグリーンIT)と、データセンターやオフィスPCなど「IT利用におけるグリーン化」(狭義のグリーンIT)がある。もともとはIT業界から生まれた発想だが、2008年1月に開催されたダボス会議(世界経済フォーラム)で福田康夫首相がグリーンITに言及するなど、最近では業界の枠を越えて浸透しつつある。
しかし一方で、「グリーンITは単なるブームにすぎない」「グリーンITのために余分な仕事が増える」といった誤解も多いと栗原氏は指摘する。
「グリーンITをブームだととらえて、短期間に損得勘定だけで動くのは逆効果となる。じっくりと腰を据えて長期的に取り組むものだ。また、単にタスクととらえるのではなく、グリーンITをきっかけにIT基盤の効率化を図るべきである。これは日本版SOX法の対応についても同様のことが言える」(栗原氏)
そこで栗原氏が提唱するのは、経済と環境の双方に効果をもたらす一挙両得型のグリーンIT戦略だ。一般的にグリーンITといえば、データセンターのグリーン化を指すことが多い。例えばデータセンターで取り組む場合、省エネタイプの空調を導入したり、サーバやストレージの集約、仮想化を行ったりする。これは電力コストや設備コストの抑制に加えて、CO2排出量の削減にもつながっている。
栗原氏は「グリーンITの本質は、環境のためにITの効率性を犠牲にすることではなく、ITの効率化を目指すことで結果的に環境に貢献することである」と強調した。
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明治学院大学 経済学部准教授