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» 2011年03月31日 07時00分 公開

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:ココで差がつく エグゼクティブのコミュニケーション (2/2)

[新田 龍,ITmedia]
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「聴いてもらって当たり前」、ではない

 皆さんご自身の話は「聴いてもらって当たり前」ではないのです。現実的には、「相手は自分の話をしっかり聴いてもいないし、興味さえない」というくらいの前提で、きちんと理解されているか確認しながら進めていくくらいがちょうどいいのかもしれません。

 真のエグゼクティブは、相手の気持ちに敏感です。 それも、決して押し付けがましくないのです。 

 例えば、あいさつ。「おはようございます」とか「こんにちは」といったような定型的なものについても、自ら積極的に声掛けするのはもちろんのことです。 エグゼクティブはそれだけにとどまりません。いうなれば、「人間関係を強化するために有効なひと言はすべてあいさつ」として、人間関係を深めるため効果的に活用しているのですね。

 会った相手が何かしら楽しそうな様子であれば、「何かいいことあったんですか?」とひと声掛けるのもあいさつ。 再会した人が、前回とは違って浮かない印象であれば、「今日はどうしたんですか…」とか「何かお困りのことでもおありですか」などと配慮するのもあいさつなのです。このように「相手に関心がある」「相手のことを気にかけている」という気持ちが伝われば、お互いの親近感や信頼は自然と構築されるものです。

 では、その話を受けて次の問題。 相手がこのように会話をしてきたとき、適切な反応を考えてみてください。

(1)「ちょっと先月、過労でダウンしてしまいましてね。 業績も厳しかったもので……」

(2)「君のおかげでプレゼンが通ったよ。ありがとう」

(3)「あ〜、常務にまたイヤミを言われた〜」

 これも正解があるわけではないですが、例えばこのようなコメントが考えられます。

(1)「おお、それは大変でしたね。社長ともなられれば、いろいろとご苦労がおありなんじゃないですか…」

(2)「これからがほんと楽しみだね。僕もわくわくしてきたよ」

(3)「不本意だろうけど、まあいつものことだし気にするなよ」

 共通するポイントは「共感」です。

(1)では相手の立場で苦労を察していますが、このように相手をおもんぱかれるのは、きちんと相手に敬意を払い、相手の立場から共感できている証拠です。 

(2)では「相手の発言に対する自分の気持ち」を、自分なりの言葉で適切に表現することで、「相手の話をシッカリ聴いて、受け止めた」感がより強く伝わります。

(3)では相手の感情を代弁するような適切な言葉を選び、自分の気持ちと合わせてコメントしています。 話し手は、自分の気持ちを分かってくれたことに対して心がオープンになり、双方の関係性の強化につながります。

 こちらも、普段から他人への配慮が行き届いているエグゼクティブの皆さんには簡単だったでしょうか。 

 相手や周囲が自分に対して気を遣ってくれる環境であればあるほど、逆に皆さまご自身が「どれほど周囲に気を遣えるのか」が見えやすくなります。 だからこそ、このような「3K」「配慮」「共感」といったことをぜひ普段から意識してみてください。 それだけ相手に敬意を表することになり、相手の心は間違いなく開きます。 それは結果として、皆さまへの信頼につながっていくことでしょう。

著者プロフィール:新田 龍

株式会社ヴィベアータ代表取締役。キャリア教育プロデューサー、ブラック企業アナリスト。早稲田大学卒業後、コンサルタント、キャリアアドバイザー、人事採用業務を歴任。「初対面の数分で相手から信頼され、本音をヒアリングする」というデリケートな業務を通じて、初対面コミュニケーションの重要性を知り、そのスキルに磨きをかけていく。その後独立し、現在は人事と教育のコンサルティング会社を2社経営。これまで1万人を越える面接・面談経験を持ち、企業研修で「初対面のコミュニケーション」「人脈構築」などを教える「初対面のプロフェッショナル」。その他、TVや各種メディアでのコメンテーターや講演、執筆など、「人」と「仕事」にまつわる領域でも活躍中。著書に「人生を無駄にしない会社の選び方」(日本実業出版社)他多数。


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