次に社内に向けては、トップはどのようなメッセージを発信する必要があるか、考えてみたい。災害や危機が起きた際にトップは社外に対しても気を配らなければならないが、一方で社内、そして関係者たちに対しても配慮をしていかなければならない。社員に対する対応は、トップが行うべきだとわたしは考えている。次の手順で行ってほしい。
(1)社員であることを認識させる
(2)ねぎらい、モチベーションをあげる
(3)オープンな姿勢を示す
まずは、緊急会議を招集し(もしくはイントラネットなどの手段を用いて)、社員全員にメッセージを速やかに発する。自分が社員であるということを意識させるとともに、現状について包み隠さず話し、解決に向けて全力で立ち向かっていくことを伝える。自分が君たちを守るから頑張っていこうと意思統一をしていく必要がある。
次に、もし問題解決に向けて励んでいる人がいたならば、その現場に実際に足を運び、ねぎらうことである。「君たちの頑張りに期待している」「君たちが頑張っているから、わたしたちがいる」現場に行って声をかけてあげることはトップにしかできない。トップに直接声を掛けられたのならば、大変だけれども頑張ろうという気に誰しもなるはずである。モチベーションをあげるのはトップにしかできない。なお、現場をサポートしている部署があれば、その人たちへの励ましも忘れてはならない。
最後に、何かあったらいつでも話してほしいというオープンな姿勢を見せる。大きな組織の場合は直接話をするのは難しいかもしれないが、何かしらで社員の言葉がトップに届く体制を整えておき、いつでもオープンであること、聞く耳を持っていることを示すことが大事である。
危機的な状況下で1秒も無駄にできない中で、組織としての実行力を高めていくことが欠かせない。社員を守ることが、会社を守る近道なのである。
次回は未曾有の危機に直面したリーダーに求められることとして、「思考の枠」というものに焦点を当てて話したい。
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授