個のモチベーションを上げるにはどのようなリーダーシップが求められるでしょうか。
先日ある企業の経営者から話を伺う機会がありました。その会社はメガネ業界で大きな成長を遂げているのですが、彼は学び続けるために、社内で小さな実験を繰り返す風土を作っていると言っていました。あることで成功すると、その成功に慣れてしまい、ほっとしてゆるんでしまう。そのゆるみが危機を生む。ゆるみを生まず、進化し続けるために、会社として常に新しいことにチャレンジし、社員たちにも新しいことを常に考えることを促していると言います。
常に現状に満足せず、チャレンジし続ける風土を作ることはリーダーが率先して行わないとできないものです。
学び続けるためにわたしの組織で実践していることがあります。お客様からフィードバックが来たら、どんな小さなものでもみんなで共有しています。良い言葉をもらったらそれを担当者に伝え、褒める。そして〇〇さんがこのような言葉をもらったということを共有します。もし何かトラブルがあり、それを工夫し修正した。
当たり前と言えば当たり前、基本中の基本ではありますが、お客さまがあってこそ会社が存続しており、お客さまの声を真摯に受け止められてこそ次の成長があり、次のイノベーションがあると考えています。
ただ一方で、学び続ける組織を作りたいなら仕組みを作ればいいのか、と思われがちです。社員の声を吸い上げる意見箱を作っている、それでいいではないかと反論される場合もあるでしょう。しかし、それらは機能しているでしょうか。みんなに使われているでしょうか。仕組みは作っただけではなかなか機能しません。いい仕組みを作ったものの、仕組みを作っただけで満足し、そのままになっていないでしょうか。
仕組みを作ったのにどうしても使われない。どうしたらいいでしょうか。それはリーダー自らが率先して使うことです。リーダー自ら情報を発信する。それが使われるべきと思うのであれば、自らが使うことです。改良が必要ならば、どうやったら使いやすくなるか、意見を聞き、改良します。
大切なのはその目的は「何か」ということを常に忘れないこと。仕組みはもともと何のためにあったのか。それを常に忘れず、リーダーが自ら率先して使ってみせる。リーダー自らが手本となり、学び続ける。それが欠かせません。
進化を止めた企業は葬り去られる。そんな時代です。学び続ける組織を作るには他にも多くのことがあるかもしれません。どうしたら学び続ける組織を作れるかが問われています。改めて考えてみてはいかがでしょうか。
林正愛(りんじょんえ)
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、ファイナンシャルプランナー、英検1級、TOEIC955点。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。British Airwaysに入社し、客室乗務員として成田―ロンドン間を乗務。その後中央経済社にて経営、会計関連の書籍の編集に携わった後、日本経済新聞社に入社し、経営、経済関連の書籍の企画および編集を行う。2006年4月に退職し、「眠っている才能を呼び覚ませ」というミッションのもと、優秀な人たちが活躍する場を提供したいという思いから、同年10月にアマプロ株式会社を設立。仕事を通じて培ってきたコミュニケーション力や編集力を生かして、企業の情報発信をサポートするために奔走している。企業の経営層とのインタビューを数多くこなし、その数は100名以上に達する。その中からリーダーの行動変革に興味を持ち、アメリカでエグセクティブコーチングの第一人者で、GEやフォードなどの社長のコーチングを行ったマーシャル・ゴールドスミス氏にコーチングを学ぶ。現在は経営層のコーチングも行う。コミュニケーションのプロフェッショナルが集まった国際団体、IABC(International Association of Business Communicators) のジャパンチャプターの理事も務める。2012年4月からは慶応義塾大学メディアデザイン研究科で学んでいる。著書『紅茶にあう美味しいイギリスのお菓子』(2000年、アスペクト)。2児の母。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
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明治学院大学 経済学部准教授