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» 2016年06月13日 08時00分 公開

チーム内で話し合うドラッカーに学ぶ、成功する経営チームの作り方(2/2 ページ)

[山下淳一郎,ITmedia]
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巨額の投資や人事の決定は話し合う

 経営チームは一人ひとりが、各担当分野の最終意思決定者であることはこの連載で既に伝えたとおりだ。しかし、各担当分野の最終意思決定者=勝手に決めていい」ということではない。組織のひとりとして、チームの一員として仕事をしている以上、話し合わなければ決められないことがある。それは、巨額の投資や人事についてである。

 ある企業でこんなことがあった。入社日も年齢も成績もほぼ同じである社員AさんとBさんがいた。嘱望されていた2人だったが、ある日Aさんだけが昇格した。昇格できなかったBさんは、「自分はよほど期待されていないのだ」と勘違いを起こし、仕事に対する意欲が下がっていった。

 Bさんの上司にAさんを昇格させるという情報が行っていなかったため、Aさんの昇格に伴ってBさんを昇格させるべきかどうかを検討する機会を持たなかったのだ。事前に確認し、話し合いの場さえあれば、それが必要なことは分かったことだ。8カ月後、Bさんはその会社を辞めてしまった。上の意思疎通の無さの結果、大事な人材を失ってしまった。

 話し合いの場さえあれば、起こらないことだった。このように、会社にとって重要なことは話し合って決めなければならない。事業を成長させ、組織を繁栄させていくためには、充分な話し合いが必須なのだ。

争いは不要でも対立は必須

 ソニー創業者の盛田昭夫氏が副社長、田島道治氏が会長だった頃の話だ。盛田氏と田島氏は意見の食い違いが度々ありました。盛田氏はあるとき、意見の相違で田島氏が怒っているのを承知で、自分の意見を強硬に主張し続けた。

 田島氏は盛田氏にますます苛立ち、その苛立ちが限界に達した田島氏はこう言った。「盛田君、君と私は意見が違う。私は絶えず意見が対立するような会社にいようとは思わない。今すぐ辞める」

 盛田氏は臆せずこう言った。「お言葉ではありますが、あなたと私がすべての問題についてそっくり同じ考えを持っているなら、私たち2人が同じ会社にいて、給料をもらっている必要はありません。その場合、私かあなたのどちらかが辞めるべきでしょう。この会社がリスクを最小限に抑えて、どうにか間違わないですんでいるのは、あなたと私の意見が違っているからではないでしょうか。どうぞお怒りにならず、私の考えを検討してみてください。私と意見が違うからと言ってお辞めになるというのは、会社がどうなってもよいということでしょうか」

 盛田氏が田島氏に言ったことを要約すると、次のようになる。

 「成果を生む意思決定は、対立する意見による熟考の果てに生まれるのです。だから、これからも徹底的に話し合っていきましょう」

 成果を生む意思決定を生み出すために御社の経営チームも徹底的に話し合っていただきたい。

著者プロフィール:山下淳一郎

トップマネジメント株式会社 代表取締役

ドラッカー専門のコンサルタント。コンサルティングファーム出身、上場企業役員を経て、トップマネジメント株式会社を設立。上場企業を始めとして、IT企業の経営チームにドラッカーの理論を活用するコンサルティングを提供している。一般社団法人日本経営協会専任講師、淑徳大学の経営学講師、デジタルハリウッド大学院大学客員教授、ダイヤモンドビジネスタレント派遣講師を務める。著書『ドラッカーに学ぶお客様を幸せにする会社の作り方』(角川フォレスタ)、寄稿に『人材育成の教科書』(ダイヤモンド社)、『企業と人材』、『経済界』、『人事マネジメント』等。


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