強風や人身事故で電車が止まることは、よくあります。仕事が遅い人は、「電車が止まったから遅刻した」と言い訳をします。仕事が早い人は、同じように電車が遅れても遅刻はしません。言い訳をする人は、電車が遅れたのだから遅刻をしても仕方ないと思っています。
同じ路線で来ても間に合っている人がいることに、気づいていないのです。遅れる人は、常にギリギリで動いています。遅れない人は、電車が止まることを想定して早めに来ているのです。
電車に遅れてミーティングに参加できないと、後で上司に「ミーティングの報告をするから残れ」と言われます。結果、帰るのが遅くなります。
世の中は、いつ何が起こるか分かりません。
電車が遅れた場合を想定してクッションを前に置いておくことで、早く帰れるのです。時間ギリギリに行く人は、すべてのことに対してギリギリで行動します。時間を節約しようとして、結果、時間を浪費してしまっているのです。
会社をクビになる原因は、たった一つ、遅刻です。仕事ができないからクビになる人はいません。どんなに仕事ができても、遅刻をする人はクビです。
僕はいろいろな種類のコンテストの審査員をしています。最初に選考から外されるのは、遅刻をする人です。遅刻をする人が選ばれることはありません。遅刻は全員が見ています。
遅刻をすることによって、その人の態度が傲慢(ごうまん)に感じられます。本人も、「ちょっと遅刻しただけじゃん」と、傲慢になっていきます。「傲慢だから遅刻をする」→「遅刻をするから傲慢になる」という負のスパイラルに入っていくのです。
午後の仕事の生産性は、人によって違います。単純に、ランチを食べるのが遅い人はしくじっています。まずは食べすぎです。腹8分目でも、午後の仕事のスピードが落ちます。眠くなるからです。
サッカーの試合に例えて前半が午前、後半が午後とすると、後半の頭で2点ぐらい点を取られてしまうイメージです。サッカーの試合途中で、ご飯を食べる人はいません。仕事の途中では、なぜか平気でランチを食べます。
もちろん、空腹で血糖値が下がると頭は回りません。逆に血糖値を上げすぎても、眠くなって頭が回らなくなります。
多くの場合、会社のランチタイムは1時間です。しかし、僕が行っているビジネススクールの講義のランチタイムは30分です。それ以上の時間はいりません。みんな30分で食べ終わって、あとの30分はダラダラしているからです。このダラダラ感で、後半のダラダラリズムができ上がります。
まずは、ランチを食べすぎないことです。実際、忙しい人たち、たくさんの仕事をこなしている人たちは、昼食はほとんど食べません。TVの売れっ子で、1日1食という人もたくさんいるのです。
もう1つの遅くなる原因は、食べるのが遅い友達と一緒にいることです。遅い人に「早く食べて」とは言えません。僕は、博報堂にいる時から、ランチは1人で行っていました。お昼休みは貴重な仕事タイムです。
食べるのは5分です。行くのは近くのお店です。出てくるのが遅い店には行きません。よく行っていたのはビュッフェです。自分で取るスタイルなので、料理が出てくるまで待たなくていいからです。
おいしい店は、料理にこだわって、手間ヒマかけて作っています。残念ながら、料理がすぐに出てこない店は僕のランチのリストから外しました。OLは連れ立ってランチに行くのが習慣です。男性でも、上司と一緒に行く人は、つまようじを口にくわえながらダラダラしています。あのつまようじで午後のテンポが遅くなります。
仕事が早い人は、ランチは1人で行きます。そうすることで、自分のテンポを邪魔されないようにしているのです。ランチタイムの過ごし方で、人生の時間が変わってくるのです。
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は、『なぜ あの人は2時間早く帰れるのか』(学研プラス)など、1000冊を超す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授