学ぶべきは「社長のまわり」の仕事術――突き抜けた社長の「まわり」はどんな仕事をしているのか?ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2018年02月08日 07時24分 公開
[上阪徹ITmedia]
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 2つ目は「スピード意識がとんでもなく強い」ことです。自身の仕事が速いだけではありません。相手、とりわけ経営トップの時間をいかに奪わないか、常に強く意識しているのです。

 例えば、メール連絡。ストライプインターナショナルの宣伝部部長の中村雅美さんは、これはどういうこと? というやりとりが続くのが、最もやってはいけないこと、できるだけ一発で理解できるものを、と語っていました。

 「そのためにも、感覚だけでものを言わないようにしています。データなのか、状況なのか、必ず背景となるものを付け加えています。これは“確認して”と言われるな、“この情報が欲しい”と言われるな、と想像ができたら、最初から付けておくようにしています」

 添付するのは、1枚のPDF資料です。「2枚になるとダメです。1枚にする。外部からの資料も、1枚でお願いしていました」

 外に対しても、スピードを強く意識します。その理由を端的に語ってくれたのは、隈研吾建築都市設計事務所のコミュニケーション・ディレクター、稲葉麻里子さんです。

「隈自身のレスポンスがとても速いんです。メールを送ると即返信が来ることも少なくありません。ここで私がモタモタしていたら、隈がモタモタしているみたいになってしまいます」

 3つ目は「トップをよく理解している」ということ。トップ自身を、あるいはトップの状況を、です。

 中川政七商店の執行役員バイヤー、細萱久美さんは多忙な中川社長とはなかなか顔を合わせられないことも少なくありません。そこで役に立っているのが、社長の著書だと語っていました。

 「モノづくりやブランディングのいい教科書になっています。社長自身も講演などで使っていますし、それに沿って考えることも多くあります」

 そして日々の社長の空気感にも敏感になっていくことが大切になります。カルビーの海外事業本部本部長の笙啓英さんは提案のタイミングに注意をしていました。

 「経営者本人の中に、今どこに興味が向いているか、という流れがなんとなくあるんですよ。お、フルグラにいっているな、というときもあれば、あっ今、中国に来た、というときもあります。ここは、うまくつかまないといけません」

 サニーサイドアップの社長室副室長の谷村江美さんは、次原社長に声を掛ける際にも注意をしています。

 「確認は重要ですが、気配りは十分にしないといけないと思っています。次原が集中しているときに、横から直接、別件のことを聞いたりすることはまずしないですね」

 ここでご紹介できたのはほんの一部ですが、ハッとさせられるものが数多くありました。優れた経営トップには、優れた社長のまわりの仕事あり、なのです。

著者プロフィール:上阪徹

1966年兵庫県生まれ。リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスに。著書に『JALの心づかい』『あの明治大学が、なぜ女子高生が選ぶNO.1大学になったのか』『10倍速く書ける 超スピード文章術』『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』など多数。インタビュー集に『外資系トップの思考力』『プロ論。』シリーズなど。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品も60冊以上に。


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