そうならないためにも余裕を持ちましょう。簡単にできるのは時間の余裕をもつこと。できるだけ早く準備を始めれば、余裕が生まれます。もう1つは「プランB」を用意しておくこと。「この提案が失敗したら、次はこれをしよう」という備えがあれば、準備の段階はもちろん、本番も余裕をもって提案できるでしょう。
可能であれば「プランB」だけとは言わず「プランD」くらいまで用意しておくのが理想です。
顧客や上司に提案するときは、なんでも先回りして準備をしますが、部下を育てる時はこの限りではありません。「この仕事はこんなリスクがあるから気を付けてね」と先回りして伝えれば、失敗を避けられるかもしれませんが、部下の成長につながらないからです。
もちろん、プロジェクトの存続に関わるような失敗は避けなければいけませんが、極力指示は最低限にして、本人が考える余白を残しておくこと。それにより、自ら考える力が成長しますし、ミスをすればそこから学べます。
大切なのはミスをした時に怒らないこと。「ミスをしたら怒られる」と思えば、萎縮して次回からチャレンジするハードルが高くなってしまいます。それが続けば、言われたことしかできない「指示待ち人間」になってしまうでしょう。部下が積極的にチャレンジできるよう、心理的安全性を作るよう心掛けてください。
部下を持つ人の中には「ミスするのを分かっていて教えないのは非効率」と考える場合もあるかもしれません。確かに、最初からやり方を教えた方がミスを防げますし、早く仕事を覚えられるので効率的に見えます。
しかし、効率性を重視して細かく指示することで、部下の主体性を奪ってしまうことにもなるのです。仕事へのモチベーションが高い部下ほど「自分の思う通りにやってみたい」と考えているもの。そこに細かく指示をして「言われた通りにやりなさい」と言われれば、モチベーションも下がってしまうでしょう。
そこで私は大まかな方向性だけ指示を出して、あとは社員に任せることにしています。そうすることで、部下たちも「これは自分の仕事なんだ」という責任感も生まれるのです。効率的に組織を回すことも重要ですが、それ以上にメンバーの主体性を育てる工夫も忘れないようにしましょう。
部下に仕事を任せることで、リーダーの仕事はどんどん減っていきます。では、全ての仕事を部下に任せたあと、リーダーに残る最も重要な仕事とはなんなのか。それは「先をよむこと」そして「リスクをとること」。
現場の仕事をしている部下は「今」に集中しているため、未来を考える余裕はなかなかありません。そのためリーダーが未来を考え、勇気をだしてリスクをとらなければならないのです。リスクをとるのは誰でも怖いもの。だからこそ、リスクをとる決断をした上でリカバリーを考えるのがリーダーの仕事です。
しかし、ただリスクをとるのでは意味がありません。そのリスクをとる「意義」があるかが重要です。自分が「やりたい」だけでは、ただの趣味。チームを巻き込んでまでリスクをとるだけの意義があるのかどうか、ミッションやビジョンに立ち戻って考えてみましょう。
今回の記事で紹介できなかった事業開発方法やその磨き方は『失敗の9割が新しい経済圏をつくる』(かんき出版)に詳しく書いています。プレゼンの仕方、部下への指示の出し方を学んでぜひビジネスの成長に役立たせてください。
株式会社パンフォーユー 代表取締役
1989年1月18日33歳、東京都生まれ、群馬県育ち。
京都大学経済学部卒業後、2011年に株式会社電通に入社。2014年に退職後、教育系ベンチャーを経て、地元群馬のNPOにUターン転職。何かしら地方に貢献できるようなビジネスを立ち上げてみたいと思う中で、とある冷凍パンメーカーさんと出会う。2017年1月にパンフォーユー設立。地域の独自性や強みを発揮できる食であるパンと、冷凍を組み合わせることで、かねてより想っていた「魅力のある仕事を地方に作りたい」を叶えることができるのではと考え、群馬県桐生市で“パン”ベンチャーである株式会社パンフォーユーをスタート。パンを「作る人」「売る人」「食べる人」三方良しのプラットフォームサービスを提供。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授