音楽家の渋谷慶一郎が最新の人型ロボット「アンドロイド・マリア」を発表タイムアウト東京のオススメ

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» 2025年07月02日 07時03分 公開

 音楽家の渋谷慶一郎が代表を務めるレーベル「ATAK」が、最新の人型ロボット「アンドロイド・マリア」を発表しました。本作は、さらなる身体性と表現の進化を追求し、「世界一美しいアンドロイド」の実現を目指した作品。テクノロジーと芸術の融合によって生まれた「新たな生命体」ともいえる存在です。

(C)ATAK「アンドロイド・マリア」

 渋谷はこれまで、初音ミクによるボーカロイドオペラ『THE END』などの既成概念を覆す作品で、国内外から注目を集めてきました。特に近年はアンドロイドとの舞台芸術に取り組み、2018年にはアンドロイド「オルタ2」による『Scary Beauty』を発表。アンドロイドが指揮し歌うという構成で、人間と機械の共存を描いた実験的な音楽作品として話題を呼びました。

アンドロイド オペラ『Scary Beauty』

 2022年には「ドバイ国際博覧会」の日本館で「アンドロイドオペラ」シリーズ作品「MIRROR」のプロトタイプを発表。2023年にはパリのシャトレ座で、AIが生成した歌詞や仏教声明、ピアノと電子音楽が交錯する70分の完全版を初演しました。

(C)ATAK「アンドロイド・マリア」

 アンドロイド・マリアは、渋谷がこれまで手がけてきたアンドロイド・オペラの到達点であり、新たな始まりです。従来の空気圧駆動を用いた「オルタ」シリーズとは異なり、50以上の関節すべてをモーターで制御することで、よりリアルで滑らかな動きを実現しました。演出や対話においても、内蔵のカメラとマイクによって観客の存在を認識し、即興的な反応が可能だといいます。

 名前の由来は、渋谷が若くしてなくした最愛の妻にあります。「死はひとつではない」という「THE END」以来の一貫したテーマが、アンドロイド・マリアにも受け継がれました。

 外見には古代から現代までの女神像や菩薩(ぼさつ)像のエッセンスをAIにより取り入れ、下半身には無数のチューブが地下茎のように絡み、生命と大地のつながりを象徴する形が施されています。マリアは単なる機械ではなく、音楽や記憶、感情、知性が交差する創造物。観る者の内面に語りかけ、新しい舞台芸術の可能性を提示しました。

 本作には、AIアーティストの岸裕真によるコンセプト設計や対話プログラム、コンピューター音楽家の今井慎太郎によるプログラミングなど、20人近いコラボレーターが参加しています。

 2025年11月5日(火)には、東京で本格的なデビュー公演を予定。詳細は夏に発表されます。また、2027年にはヨーロッパ初演が予定されており、英国ロイヤル・バレエ団のサー・ウェイン・マクレガー(Sir Wayne McGregor)が演出、建築家の妹島和世が舞台美術を手がける大規模なコラボレーション作品として展開される予定です。

 アンドロイド・マリアが現代の新たな演者として、今後の舞台芸術の在り方を塗り替えていくことを期待しましょう。

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著者プロフィール:タイムアウト東京 編集部

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