東京の街の“ローカルエキスパート”が、仕事の合間に一息つけるスポットやイベントを紹介します。
大久保と中野に挟まれ、長らく無色透明な印象だった東中野。しかし、今この街が少しずつ色彩を帯び始めています。JR東中野駅の西口を出てすぐ、角地に建つビンテージビルの赤いドアを頼りに4階まで上がると、独立書店「プラットフォーム(platform)3」があります。
同店は、アジアを中心とした2000冊以上もの書籍や雑誌などを販売する「ロンリネス ブックス(loneliness books)」のオーナー・潟見陽と、ZINEの制作をはじめ、アイデンティティーを表現する人々によるパーソナルなZINEを集める出版レーベル「(TT)プレス(press)」の丹澤弘行とともまつりかの2人が共同運営する、独立書店兼オルタナティブスペースです。
店名は、ソウルにあるホンデ駅の上にあるクリエーター向けスペース「プラットフォーム(Platform)P」に由来し、3人が親交を深めた場所に敬意を込めたもの。さらに、東中野駅の1番ホーム、2番ホームと続く位置にあるビルの並びから、「3番目のホーム」という意味も込められています。また、3人で運営するという意味とも重なり、「プラットフォーム3」と名付けられました。
店内に足を踏み入れると、二面窓の心地よい開放感と、多角形の構造で包み込まれるような安心感があります。ゆったりと腰を下ろせるソファやローテーブルも置かれ、くつろぎながら読書を楽しめるのもうれしいです。
書籍のラインアップは、潟見がロンリネス ブックスで取り揃えていた本に加え、丹澤とともまつの個性や関心が色濃く反映された選書など。丹澤のセレクトには、クィア文化をはじめ、動物やかわいいものへの興味が表れています。また、詩作活動をしていることから、美しい言葉や表現に関連する本も集められました。
一方、音楽活動もしているともまつのセレクトは、音楽関連の書籍や東南アジアのカルチャー、特に現在影響を受けているというタイに関する書籍。さまざまな分野に興味を持つ3人によって選ばれた書籍が、分け隔てなく置かれているのが同店の特徴です。
また、装丁が美しいものや、絵本、アート性に富んだものなど、誰でも手に取りやすい書籍が揃っていることも本店の魅力。ビジュアルが多いZINEは、最初に手に取る一冊としてもぴったりです。
「独立書店に入ることにハードルを高く感じている人たちにも、本が大好きな人たちにも気軽に来て楽しんでもらえるような書店を目指して、日々試行錯誤しています」と潟見が語るように、店内ではグッズやオリジナルTシャツの販売のほか、展覧会を開催し、多くの人々が楽しめる雰囲気づくりをしています。
今後は音楽イベントや読書会などの企画も計画中です。さらに、3人は開店を機にPodcastで『東中野の三番線から』の配信を開始し、店舗の雰囲気や3人の人柄を伝える活動も行っています。ぜひチェックしてみてください。
同店はアジアを中心に、世界各地から集められたZINEや書籍を通して、表現する人々とのつながりを感じられる特別な場所になっています。ここで出合う本が、自分の居場所を見つけるきっかけになるかもしれません。そんな同店に、ぜひふらりと足を運んでみてはいかがでしょう。
「こんな本屋を待っていた、東中野に独立書店『プラットフォーム3』が誕生」では、さらに情報を紹介しています。是非チェックしてみてください。
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明治学院大学 経済学部准教授