どんなに理にかなった戦略も、その実行を危うくする不測の脅威に、次々と襲われます。これらの問題に、現場や部門リーダーが、素早く対処していかなければ、ランチェスター戦略も足許から破たんしていきます。そこで、それらのリーダーが、不測の脅威にいかに対応すべきかを、アメリカ陸軍の最新の指揮官マニュアルをベースに、『ランチェスター思考II:直観的問題解決のフレームワーク』2010年で論じました。ちなみに、そのマニュアルでは、意思決定と指揮(コマンド)を次のように分類しています。
その内容は広範多岐にわたりますが、その一部を以下に抜粋しましょう。
意思決定(ディシジョンメーキング)
1. 完全な情報や解決にこだわらず、直観的意思決定により素早く決定する
2. 受容可能なリスクを素早く決める
3. できるだけ多くの情報源にあたる
4. 絶体絶命の状況におちいったなら、希望を基にして、強行突破をはかる
5. 状況に合った計画を作成し、計画に合わせて状況を作為してはならない
指揮・統制(コマンド アンド コントロール)
1. 任務指揮を励行する
2. 任務指揮を実行するため、部下の教育・訓練をしっかりとし、また、不在指揮(間違った行動をしても注意しないこと)で失敗経験を積ませる
3. 部下の忍耐力の限界を認識する
4. 部下の目をのぞき込み、フェイス・ツー・フェイス・コミュニケーションを心がける
ランチェスター戦略にせよ、指揮官マニュアルにせよ、現実をふまえて開発されたため、めりはりのきいた活動を展開している企業のトップやミドルにとっては、とっくに実行している事項がほとんどです。しかし、それらに基づいて、改めて、現状を体系的にチェックし、やるべきことと、やってはいけないことを確認することが、事業や商品のサステナビリティ(持続可能性)を高めるのに役立つと確信しています。
慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了(産業関係論専攻)。以後、販売戦略の見直、管理体制整備、会社再建支援、危機管理などに、コンサルタントないし会社役員として従事。立教大学大学院危機管理学教授、放送大学客員教授、横浜国大、慶應大、法政大、外務省ロシア支援プロジェクトなどの講師、などを歴任。現在、サステナブル・リサーチ代表(主業務は、役員・管理職研修、官僚化対策、CSR推進支援)、大阪産業大学客員教授、立教大学ESD研究センター研究フェロー(CSRチーム)、海上自衛隊幹部学校講師(組織・統率論)、航空保安協会評議員、大阪科学技術センターMATE研究会アドバイザー。信条は「着眼大局・着手小局」。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
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明治学院大学 経済学部准教授