仕事以外の様々な活動に参加する事で自信を高め、自分の市場価値を高めることができます。コーリション・フォー・エフェクティブチェンジの会長を務めるロズリン・クリーマンは、「人として大きくしてくれるあらゆる活動に参加することで、より賢く、より魅力的になることができますし、仕事でも昇進する可能性が高まります」と述べ、賛同しています。
また、仕事の一部として勉強熱心になることも大切です。ジャーナルを読んだり、ワークショップやカンファレンス、オンラインセミナーに参加したり、ライバルを研究したりすることで自分の業界について継続的に学び、勉強して下さい。そして、MBAなどの上級学位を狙うべきか考えて下さい。
メルセデス・メディカル・インクのCEOであるアレキサンドラ・ミラーは、「知識は力です。若い女性は早くそのことを学んだ方が良いでしょう」と主張しています。
仕事に関連する分野以外にも目を向けることは、自分というブランドを高めることにつながることは、いくつかの発言からも明白です。また、知識を得るためには、社内外問わず、多くの機会があるはずです。
ボランティアに参加することで、信頼を高めることやリーダーシップを発揮するチャンスを得ることができます。自分が情熱を傾けられるものを明確にし、それをサポートしてくれる組織を見つけ、どのように貢献できるか学んで下さい。自分のスキルと時間的制約を考えた時、どのような役割が最も力を発揮できるか判断して下さい。ボランティア活動を通じて何を学びたいのか考え、そこで得た経験を有効利用して昇進につなげて下さい。
ボランティアを通して学び、その経験を仕事に生かすことそのものは難しくはありません。しかし、確かな計画性と行動力が求められます。
多くの女性が交渉は対立する事だと考えているため、自分の欲しいものを求めることをしません。彼女達は良い結果を得られないだろうという疑いの気持ちを持っており、実際に求めているものに満たない条件で合意してしまうことがよくあります。調査によると、給与の交渉を嫌がることが原因で、女性は60歳になるまでに50万ドル以上の給料を損していることが分かりました。
しかし、それにもかかわらず女性は仕事をしたり、転職したり、家を買ったり、事業を始めたり、離婚したりします。どれもすべて交渉スキルが必要なことばかりです。実践あるいは訓練をすることで交渉に慣れて下さい。次に記す交渉に慣れるためのシンプルなガイドを参考にしてください。
交渉力のスキルアップガイド
女性は交渉事が苦手だとされているのは、男性のように理論的に物事を考える女性が少ないからかもしれません。ですが、どうして交渉が苦手かというところに重点を置かず、交渉を得意にするポイントが整理されていて、即効性での効果が期待できるものとなっています。
どの組織にも社内政治、つまり「物事に関する暗黙のルール」が存在します。女性は、昇進するためには政治的手腕を身につける必要があります。女性が社内政治を無視すると、周りを驚かせたり、攻撃的だと思われたり、あるいは、昇進するチャンスを逃してしまう場合があります。自分の周りの空気に合わせることが大切です。
グローバル・ギビング社のCOOを務めるドナ・カジェホンは女性に対し「組織文化を早い時期によく理解して下さい」と助言しています。自分が属する組織の権力の流れ、シンボル、隠語を理解する事で、より早く貢献し始めることができますし、自分の業務を企業の事情に合わせて進めることができるようになります。
組織に属して仕事をする以上、ルールを考えることは非常に重要で、キャリアアップへの近道だと考えられます。これは言い換えれば、独断的な行動は組織では受け入れられにくいということになります。
社内政治から逃れることは誰にもできませんが、その被害者になることを避けることはできます。周りの人の貢献を称賛し、階級や立場に関係なく組織内にいる人間はすべて顧客のように扱って下さい。この「内部顧客サービス・アプローチ」は、人間関係を構築し、味方を増やし、確かな評判を確立する素晴らしい手段です。また、うわさ話に熱中してはいけません。情報収集とうわさ話の違いを理解して下さい。広まって欲しくないと思うことは、口にしたり文字にしたりしてはいけません。問題を解決する際は、当事者に直接話をするようにしましょう。感情ではなく事実に基づいて会話をすることが大切です。
複雑な社内環境の中でも、うまく立ち回る術は必ずあります。現実に起きていることや周囲の変化をよく観察し、常に冷静に自分の行動を考えることが重要です。
「欲しいものは全て手に入れられる」という考えは、人を惑わすだけでなく失望させるものでもあります。スマートフォンやポケットベル、インターネットが提供する継続的つながりによる24時間常に仕事をすることができる環境によって、週60時間以上の勤務が発生する「過剰労働」が生まれています。しかし、社会はいまだに女性に対し、高齢の両親の面倒を見ることや、結婚生活に活気を持たせ続けること、さらには子供のサッカーの試合を欠かさず応援することなどを期待しています。このような24時間ずっと仕事をしなければならないというプレッシャーが増加していることが1つの原因となり、やせ細り現象が起こっています。つまり、女性はより融通のきくライフスタイルを求めて会社を離れて行くのです。
パピルス社のCEOであるドミニク・シャーマンは「女性は全てを手に入れられると信じています。これは素晴らしいメッセージではありますが、言うほど簡単な事ではありません。女性は全てを求めることはできますが、それには犠牲が付いて回ります」と述べています。
女性に多くの役割が求められていることが分かりますが、実際にそれをこなそうとする女性も多いと思われます。これは女性と仕事の在り方が見直される機会ともなり得るのではないでしょうか。
仕事と私生活のバランスを取るためには、人生のあらゆる分野に対し平等な時間とエネルギーを分配する必要があります。そこで、バランスを取ろうとする代わりに、与えられた時間の中で、必要、あるいは最も重要な事に集中する、「仕事と私生活の一体化」を試みて下さい。ある時期には、仕事に比重を置くことがあるでしょうし、またある時にはそれが家族に向くことがあるでしょう。 ロサンゼルス・ドジャース球団の会長を務めるジェイミー・マコートは、「我々は、その時点で最も集中すべきことに集中しています。そして、その対象は常に変わっています。時には、その対象は夫、子供、慈善活動、指導、あるいは仕事になります」と述べています。仕事と私生活の一体化を実現するための手段には、フレックスあるいはパートタイム制の仕事、ジョブシェアリング、在宅勤務、そして、両親、配偶者、あるいは友人によるサポートシステムを活用することなどが挙げられます。
これらの勤務スタイルは、女性がその能力を発揮して仕事を続けていくためになくてはならないものと考えられています。これらは現代企業に早急に整備されるように求められている課題でもあります。
最終目標を念頭に置いて、キャリア構想を練って下さい。明確な長期目標を持つことで、短期的な決断を下しやすくなります。会社の出世階段を順調に昇っていくことはできないかもしれませんが、回り道や脇に逸れることも、新しい経験や影響を得ることができるのなら、有益な事です。
しかし、ある地点まで来たらリスクを冒す必要があります。例え初めは自分では歯が立たないと思っても、新しいチャンスをつかんで下さい。ビッキー・ホーは「大それた仕事のオファーをもらった時、自分がそれをものにしなければ、他の人に取られてしまいます。女性の中には自分の限界を決め過ぎてしまっている人がいますが、しなやかさを身につける必要があります。会社はあなたを成功させるためにあるのではありません。それはあなたの仕事です」と述べています。
多少のリスクに臆しないで殻を打ち破るのが未来の女性の姿であるなら、これはとても勇気付けられるメッセージでしょう。考えや行動が柔軟な女性にはキャリアの方から歩み寄ってきます。本書の内容は男女問わず、仕事を行っていくうえで非常に参考になるものです。ぜひ、これらのステップを実践してみて下さい。
この本の詳細
セレナ・レズバーニは、女性とリーダーシップに関するコンサルタント、コーチ、講演者です。とくに女性の昇進に関するリーダーシップスキルなどについて、専門的なノウハウを保有しています。
経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授