自国の文化と他国の文化がかけ離れていることで受けるカルチャーショック。これは海外滞在時はもちろんのこと、自国に帰った際に経験することもある。詳しくみてみよう。
「カルチャーショック」という言葉を聞いたことがあるだろう。すでに経験済みの人も多いはずだ。外国に滞在している間、現地の文化と自国の文化の板挟みになり、人はカルチャーショックと呼ばれる状態に陥るのである。外国の文化が自分のそれと大きくかけ離れていると、容易には白黒を判断できない矛盾に悩まされることになる。そうしたところから、フラストレーションがたまっていく。ストレスが一定のレベルにまで達した状態を、しばしば、カルチャーショックと呼ぶわけだ。
多くの場合、カルチャーショックを受けるのは、海外滞在中の第2段階においてである。第1段階では、珍しい異国文化を目の当たりにして、興奮や高揚といった感覚が勝っている。ちょっとした冒険が楽しくてたまらない時期だ。休暇を海外で過ごす旅行者は、外国での滞在期間が短いこともあり、この第1段階しか経験しないケースが多い。外国にしばらく居続けた後にやってくる第2段階は、現地の言葉や価値観、規範などが自分のものとは異なるために、いろいろな問題を感じ始める時期でもある。
ドイツに住んでいる日本人で、彼の地の直裁的かつ直接的な生活様式に強いストレスを受けていた人がいた。彼らはドイツ式のストレートなやり方に合わせる努力をしていたが、結局のところ失敗した。彼らがあらゆる場面ではっきりした態度を取ろうと試みたのに反し、ドイツ人はシチュエーションや相手に応じて直接的な姿勢を変えていたのである。
一目瞭然に分かる変化ではないものの、これはきわめて重要なポイントだった。逆もまた然りで、東京に住む多くの外国人がそうした境遇に置かれているのを知っている。彼らが日本文化になじむのは非常に難しく、ストレスもたまりやすい。
カルチャーショックに見舞われる第2段階を乗り切り、現地の文化にとけ込むか、外国文化の違いを前向きにとらえるようになる人もいれば、帰国するまでストレスから逃れられない人もいる。ところが、外国文化にうまく適応したばかりに、自分の国に戻ってカルチャーショックを受けることもあり得る。二度と帰国したくないと考える人もいるほどだ。
海外旅行は経験という名の財産となり、世界に対する視野を広げてくれるが、ストレスを増大させる危険性も十分にはらんでいる。海外滞在をなるべく快適なものにするには、同じ経験をしてきた人から話を聞いたり、国際交流講座のようなものに参加したりするのがよいだろう。一部の企業は、海外駐在者にアドバイザーをつけている。いずれにせよ、外国生活への不満を垂れ流すしか能のない人とはかかわらず、常に忍耐と寛容の心を持つようにしたい。
ジャスミン・A・ワグナー(Jasmin A. Wagner)
ドイツ、ハンブルク出身。2歳の時に両親とともにヨットで世界一周の旅に出発。その後15歳になるまで世界30カ国以上を訪れる。この旅についてのニュースは世界中で評判になり、韓国で絵本が出版され、日本でも多くのメディアで紹介される。アジアには10〜15歳まで滞在。そのうち4年間は奄美大島に滞在。その後も両親は旅を続け、自分は1人でドイツに帰国。優秀な成績で学業を修め、経営管理学ディプロマ Diplom-Betriebswirt(BA)を取得。ドイツの有名自動車企業に就職後、28歳でエグゼクティブに抜擢される。
世界中の支社で働くうちに、それぞれの国に大きな特徴、強み、弱みがあることに気づく。コミュニケーションスキルでビジネスの成功に大きな差が出ることを痛感。ニューヨークにてイメージコンサルティングスキルを学ぶ。キャリアの傍ら、グローバルコミュニケーションやイメージコンサルティングセミナー、トレーニングを展開する。独、仏、英語、日本語を話す。空手初段。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授