現在の若手人材の育成には、「小さな目標でスモールステップを刻むこと」「褒めどころ、育成どころを沢山つくること」が大切となる。手間がかかると思われるだろうが、少人数の核家族の中で育ち、学校や塾も少人数制のクラスの中で学んできた若者たちには、これが当たり前なのだ。一昔前のような「見て覚えろ」方式はもう受け入れられず、パーソナルトレーナーのように面倒見よく指導していかなければならない。
ここまで部下を細かく見るのは、部下を多く抱える部長や課長といった役職の上司にとっては難しいだろう。そのため、30代〜40代の中堅世代をリーダーとして、Z世代の若手社員を指導していく必要がある。「アメーバ育成」という視点を取り入れるべきだろう。
リーダーがやるべき3つのこと、2つめは「採用」だ。
「ファンの心理には2種類あります。いい面を見てファンになる“〇〇だから好き!”と、悪い面も見たうえで“〇〇だけど好き!”というファンがいます。現在は、採用活動を行う際にいい面ばかりを見せようとしている企業が多いように思います。会社説明会などでも、全面的にいい部分を見せるのではなく、10項目のうち2項目を“〇〇だけど”というちょっとダメな面を見せることも大事です」(野本氏)
人材採用において重要なのは、情報発信力だ。100の情報をただ発信するよりも、10の情報を確実に相手に届く形で発信することが必要と言える。そのために大事なのは、情報を届けたい相手がどのような価値観を持っているかを知ることだ。採用を行うには、対象であるZ世代を知らなければいけない。Z世代の特徴としては、以下のようなものがある。
1、デジタルネイティブ
2、プライバシー保護への意識が高い
3、反ブランド主義、個性重視
4、コスパからタイパへ
5、起業家精神、社会への問題意識が高い
6、平等や合理性を求める
7、SNSのつながりを重視
「Z世代の人たちは、自分たちの価値観と異なる違う世代の人を“あの人は〇〇世代だから”で片付けてしまうという特徴があります。“自分と価値観が違う”と感じたら、そこで人を切り離してしまいます。なので、切り離されないためには、彼らの価値観を知らなくてはいけません。
デジタルネイティブの彼らは普段からSNSに触れており、そこに学び、情報、遊び、つながりなどを求めています。現在は採用活動に関しても、SNSは必須です」(野本氏)
リーダーがやるべき3つのこと、3つめは「自分磨き」だ。
先に述べたような特徴を持つZ世代を育成、指導すべき上司は、若い人材を登用してマネジメントしていくため、仕事上の価値観をアップデートしていく必要がある。Z世代が憧れるような価値観をもった上司の言葉でないと、彼らには響かない。「この人に評価されたい」と思われる上司になるためには、彼らに伝わる言葉を持っている必要があるのだ。野本氏によると、若い人に言葉を伝えられるリーダーの必須条件は、以下の3つだと言う。
強い組織を作るためには、組織を支える人材が何よりも重要である。その人材がどのような価値観を持っているかを理解しておけば、その人材に合ったマネジメントができる。これからの会社を支えていく人材を「採用」し「育成」するためにも、彼らの価値観を知ることが重要だ。そして彼らから“この上司に評価されたい”と思われるために、自身の価値観をアップデートして、自分を磨き続けなくてはならない。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授