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» 2011年02月17日 08時00分 UPDATE

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:会社が切るべき赤字社員と評価するべき黒字社員 

会社の利益を意識すると、コピー1枚でも無駄にできない。意識を変えれば会社も変わる。

[香川晋平,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


 高学歴なのに「仕事ができない」と言われる人がいます。豊富な知識や十分な思考力を持ち、最難関大学を突破した「東大卒」社員も例外ではありません。一方、「中卒」や「高卒」といった高い学歴がなくても、大いに活躍し、「大卒」社員よりも会社に必要とされる人がいます。これがビジネスにおいての現実です。

 つまり、「学歴」と「会社での評価」には、まったく関連がありません。では、会社での評価は何によってなされるべきなのでしょうか。わたしは「会社への利益貢献」で評価すべきと考えており、会社の利益を増やす人を「黒字社員」、逆に会社の利益を減らす人を「赤字社員」と呼んでいます。

赤字社員を黒字社員に変えるには?

todai.jpg 『東大卒でも赤字社員 中卒でも黒字社員』

 赤字社員と黒字社員は何気ない会話の中からも見抜くことができます。数字をあいまいにしか捉えられない「かなり君」、すぐにカラーコピーを使いたがる「カラフルちゃん」、「俺の給与、時給にしたらマック以下!」とのたまうような赤字社員、あなたの部下にも思い当たる人が、1人や2人はいるのではないでしょうか?

 こういった赤字社員を黒字社員に変えるためには、最低限の会計知識を身に付けさせ、かつ、仕事でどう生かすかを指導していく必要があります。例えば、営業では「売り上げをあげる方法を2分以内に5個考えろ」、製造では「コストを削減する方法を4分以内に10個考えろ」、など日々の仕事で常に「会社の利益」を意識させることが重要となります。このような話をすると、「管理部門のような売り上げがなく、コストだけが発生するコストセンターはどうするのか?」という意見が出てきそうですが、利益というのは何も、決算書に表れる利益だけでありません。

 会計では、「本来は得られるはずであった利益を得そこなった ⇒ 機会損失」という概念がありますが、「本来は発生しているはずであった損失を回避した ⇒ 機会利益」と考えることができ、これも立派な利益貢献です。基本的な会計知識を教え、「会社の利益」を理解させれば、赤字社員は黒字社員に変わっていきます。

 それでは、黒字社員はどれくらいの利益貢献が必要となるのでしょうか?

 多くの経営者が、社員に対して「最低でも給与の3倍の働きが必要」と言います。全国の税理士・公認会計士が精密監査した決算数値を、全国規模で集計したTKC経営指標(BAST)を分析したところ、どの業種であっても、従業員1 人当たりの粗利益は平均給与の2倍〜2.4倍の範囲となっています。しかし、この数値は、まだ会社に利益貢献できていない研修期間中の社員も含めて計算された数値です。従って、黒字社員の条件は、会計的根拠からみても「給与の3倍の粗利益」となります。

会社にいる4種類のジンザイ

 会社には、4種類の「ジンザイ」がいると言われています。人財=文字どおり、会社の財産。自ら進んで何事にも取り組み、会社の宝となる人。人材=会社の付加価値の材料となる。言われたことをきちんとこなし、役に立つ人。人在=ただ存在しているだけ。いてもいなくても会社には影響がない人。人罪=存在自体が罪。ネガティブな発言で、周囲に悪影響をもたらす人。

 この4種類の「ジンザイ」を、わたしは下記の計算式で分類できると考えています。

会社の評価 =(個人の利益貢献額 + 周囲への利益貢献額) ÷ 給与

 個人の利益貢献額は、個人別の成績がわからない場合は、まず会社全体の粗利益を部署ごとの貢献度合で配分し、その部署の人数や個人の貢献度合を勘案して算出します。この際、明らかに個人のミスで会社が負担することになった損失は、当然マイナスします。例えば、細かいところではカラーコピーのミスやパソコン・車など会社の資産を壊した場合の実損額などです。

 周囲への利益貢献額は、その個人のサポートで周囲の方が恩恵を受け、その結果、会社の利益に貢献した額です。例えば、トップ営業マンが自分の成功ノウハウをより多くの同僚に教え、自分だけでなく同僚の売上も増やすようなケースです。これは、ちょっとした仕事であっても、実は会社に与える利益相当額はとても大きくなります。

 なぜなら、その額は恩恵を受ける人の数に比例するからです。逆に、ここでも周囲に迷惑をかけた損失相当額は、当然マイナスします。報・連・相を無視した仕事で周囲の仕事をムダに増やし、多くの人の時間コストを発生させたり、パワハラなどで退職者を増やして、部署内のモチベーションを低下させるなど、会社に多大な機会損失を発生させるようなケースです。

 これは、自分では気づいてないことが多いですが、会社に与えてしまう損失相当額はとても大きくなります。こちらも迷惑を被った人の数に比例するからです。

 この合計額をその個人の給与額で割ったのが、その個人の利益貢献倍率となります。

人財:利益貢献倍率が10倍以上

人材:利益貢献倍率が3倍以上、10倍未満

人在:利益貢献倍率が3倍未満

人罪:利益貢献倍率がマイナス

 このような目安になるとわたしは考えています。つまり、会社が評価するべき「人財」とは、周囲にプラスの影響を与えられる人。残念ながら、会社が切らざるを得ない「人罪」とは、周囲にマイナスの影響を与えてしまう人です。本書で解説する会計的観点からの「活躍度診断、リストラ度診断」、ぜひ部下の評価の際に意識してみて下さい。

著者プロフィール:香川晋平

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香川会計事務所。公認会計士・税理士。関西大学非常勤講師。カラーコピー1枚のミスでも、反省できる社員を育てるスパルタ会計の伝承者。大手監査法人在籍時から、自費でビジネススクールに通学し、30歳でリフォームの株式会社オンテックスに入社。「従業員1人当たりの会計データ」を導入し、従業員の生産性を向上。入社後わずか90日で経営管理本部取締役に就任、在任2年の累計利益は業種別ダントツNo.1となった。その後、5期連続50%超増収のベンチャー企業や従業員平均年収1,000万円超の少数精鋭企業などの会計顧問をし、数社の非常勤役員も務める。また、大学や就活支援会社で会計数値を使って「会社が従業員に期待する成績」を解説し、学生の仕事に対する意識改革に努める。

著書に、『東大卒でも赤字社員 中卒でも黒字社員』(経済界新書)がある。


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