また、セミナーでは、SOAに携わるベンダーの識者によるSOAを推進するためのパネルディスカッションも行われた。
冒頭、日本IBMでソフトウェア事業の技術理事を務める清水敏正氏は、「海外ではM&Aが頻繁に繰り返されるため、買った企業のシステムを無理して統合することはしない。疎結合でのシステム連携こそ現代的なシステム統合の姿」と言及。
NEC開発環境技術本部長の岸上信彦氏も、「新しいビジネスの立ち上げや刷新でシステムを変えるとき、手作りで作り直す時間はない。SOAはその1つの手段」と語り、既にSOAにメリットがあるか否かの議論ではなく、異種環境でシステムを接続することが切実な問題となっている現状を紹介。
「アメリカの企業では、常に新しい技術をキャッチアップし、β版の段階で試して自分たちが使えるようにする。その1つがSOAだった」と話すのは、マイクロソフトのデベロッパー&プラットフォーム統括本部に所属するアーキテクトエバンジェリストの萩原正義氏。日本もその意識がないとグローバルコンペティションに勝ち残れないと警告する。
また、SOA推進にCIOの存在を指摘するのは、日本オラクルの製品戦略本部に所属する杉達也氏だ。「グローバルではCIOの強力なリーダーシップでITをコントロールしている。しかし、日本でCIOが機能している企業はまだ少ない。企業のITはSIerが握ってしまっている現状がある」
アメリカでは、CoE(Center of Excellence、中核的研究拠点)組織がCIOをサポートする実行部隊になっており、CIOを補助する組織の育成も日本の課題という。
そして、今後日本でもSOA化を普及するための方策として、日立製作所のソフトウェア事業部で新分野事業推進室長を務める大場みち子氏は、「ビジネスを実現するための手段としてSOAは有効という認識を深めて欲しい。SOAの阻害要因に、敷居が高いという意見は多いが、まず個別の課題を解決することから着手し、早期に課題解決することで効果を実感すること」とアドバイスする。
「まず1つの業務フローでサービスを3〜5個程度作ってみる。大きな視点で考え、小さなところから始める」(清水氏)
「経営に情報システムを活用する立場の人と、システムを作って維持する立場の人との歩み寄りを通じSOAを推進させる」(岸本氏)といった意見も出された。いずれにせよ、ITを変える時代はくる。今からSOA的な開発手法にチャレンジして効果を出し、その積み上げをしていくことが重要、というのが一致した意見のようだ。
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明治学院大学 経済学部准教授