内部告発者になるのなら、自分が何に挑もうとしているのか理解していなければなりません。企業からの報復を予期して下さい。調査によると、内部告発者10人中9人に対し、告発された企業は積極的に仕返しをしていることが分かりました。告発をすれば企業に情緒不安定な「不満を抱えた従業員」呼ばわりされるかもしれません。あるいは、それよりもっと悪く扱われるかもしれません。企業はおそらく、不正行為ではなく告発者を問題扱いするためにあらゆる手段を講じてくるでしょう。
解雇すると言って脅してくることも考えられます。また、時によって企業は内部編成を行い、内部告発者の役職を消したり、内部告発者を同僚から遠ざけ孤独にしたり、仕事で失敗するよう仕向けたりします。あるいは、同僚に告発者を避けるよう言い含めたりすることもあります。さらには、職を失うことはないかもしれませんが、企業内でのキャリアは(業界内での要注意人物扱いのせいで)終わってしまうかもしれません。
内部告発者の包括的研究によると、内部告発者の84%が重いうつ病や不安神経症にかかり、孤独感や無力感を味わった事があることが分かりました。また、不信感や疑惑の念に悩まされた人が78%、健康に問題が出た人が69%、金銭トラブルに巻き込まれた人が66%、そして家族問題に悩まされた人が53%いました。さらに、内部告発をすることで発生する精神的、肉体的そして金銭的負担は多くの場合、離婚に繋がっています。
上記に加え、企業は多くの場合、内部告発を阻止するために隠ぺい工作を行います。不正行為に関する情報を内部告発者から隠したり、機密保持契約に同意させることで黙らせようとしたりすることがあります。積極的に進めるつもりのない、取ってつけたような調査を行うこともあります。
あるいは、企業の支持者に専門家として活動させ、告発者が暴いた情報がもたらす影響を小さくしようとするかもしれません。また、上役達を守るため、企業は下位レベルの従業員のあらゆる不正行為を責めることがあります。このように、内部告発をすることで、企業の創造力の影の側面が引き出されます。行動を起こそうと決めたら、最初に次のことを行って下さい。
内部告発をする!! 〜備えうる行為とは?
・大切な人に相談する――家族に話をして下さい。自分が傷つく行いは、家族にも影響を与えます。
・仕事仲間からサポートを得られないか様子をうかがう――違う考え方を示してくれたり、あるいはサポートしてくれたりするかもしれません。
・内側から働きかけることを考慮する――そうする場合は、対立的なアプローチは避けて下さい。
・自分の訴えを粉飾しないよう気を付ける――信頼を維持する必要があります。
・早期に法律専門家や他の専門家の助言を求める――専門家のアドバイスを信頼して下さい。ただし、告発するかどうかの決断をするのは常に自分であることを忘れないでください。
・綿密な計画を立て、常に攻撃態勢を取る――受け身ではなく、積極的な態度を取って下さい。
・管理職者やサポートしてくれる従業員と良い関係を保つ――手段を提供してくれたり、助けてくれたりするかもしれません。
・仲間になってくれそうな人を特定する――政府職員やメディア、活動家など力になってくれそうな外部の人間を探して下さい。
・物事を進めて行く中、起こったことを記録する――できるだけ細かく記録して下さい。
・関連性のある記録は全て確保する――適切な資料は自分の信頼性を裏付けてくれます。ただし、原本を確保するのではなく、コピーを作って下さい。保管場所を間違えれば、信頼している書類を破棄されてしまうかもしれま
せん。
・自分の時間に内部告発のための活動を行う――仕事の時間にそれを行うと、解雇の理由にされてしまいます。
・知られたくない秘密が無いかチェックする――企業は告発者の過去を利用して、告発者の信用を落とそうとするかもしれません。
・関係機関と取り組む際は、不信感を抱かれないようにする――彼らには信頼してもらわなければなりません。
内部告発する意図を十分に考えねばいけません。企業からの報復は必至なのですから、それによってもたらされる物を十分に理解した上で行うべきです。大きく自らの人生を変えてしまう結果にもなり得ることなのですから……。
著者紹介
トム・ディバインは、政府の説明責任プロジェクトのディレクターであり、情報公開法のホール・オブ・フェームの一人です。タレクF・マッサラーニは、政府の説明責任プロジェクトの元調査員です。現在はジョージ・ワシントン大学で教えています。
経営コンサルタント(ビジネスモデルコンサルタント・セールスコピーライター)。経営コンサルタントとして、上場企業から個人プロフェッショナルまで、420社以上(1400案件以上)の企業経営を支援。特に集客モデルの構築とビジネスモデルプロデュースを得意とする。またセールスコピーライターという肩書も持ち、そのライティングスキルを生かしたマーケティング施策は、多くの企業を「高収益企業」へと変貌させてきた。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授