今日が人生の最後の日だとすると、自分のやるべきことをしているのだろうか(スティーブ・ジョブズ)
人間はいつか必ず死を迎えるが、明日死ぬと思って生きてはいない。しかし死に直面すると、その人の生き方は大きく変化する。ジョブズは毎日、死について自問自答していた。禅の世界では、いまこの場面が大事であるという考えがある。
人が死ぬときには、息を吸って死ぬのだろうか、それとも吐いて死ぬのだろうか。「息を引き取る」という言葉があるとおり、人は息を吸って死ぬ。逆に生まれるときには、「オギャー」と息を吐いて生まれる。
つまり、生まれる、死ぬの繰り返しが呼吸である。不連続の連続が重要なポイントになる。
覚悟を決めれば自信が生まれる。死に直面するとエゴ(プライド、失敗、恥をかく恐怖)が消え去り、残るのは本当に必要なものだけ(スティーブ・ジョブズ)
覚悟と言う字は、「悟りを覚える」と書く。つまり覚悟を決めれば、本当に必要なものだけが残る。
Stay Hungry Stay Foolish(スティーブ・ジョブズ)
彼のスピーチで、もっとも有名な言葉がこれだ。「愚直に努力せよ」という意味であるが、ひたすらやり続けろということでもある。禅に「只管打坐(しかんたざ)」という言葉があるが、こえはただひたすら座り続けろという意味である。
これらは本人から聞いた話ではないので想像に過ぎない。しかし、彼のスピーチから「こだわりを捨てる」「いまここに集中する」「仕事と1つになる」「愚直に努力する」という4つのことを禅的に学ぶことができる。
禅的マネジメントとは、自分の持っている力をすべて発揮できるように、自分自身をマネジメントすることである。つまり「全機現(ぜんきげん)」することである。道元禅の本質は、「いきいきと生きること」だ。「いきいきと生きること」とは、「全機現」することである。このとき完全燃焼することが重要になる。
禅的マネジメントは、只管打坐(ひたすらやり続ける)、心身脱落(身も心も解けてなくなる)、一体一如(まわりと1つになり)、全機現(すべての細胞がいきいきと生きる)という4つのステップで実現される。
マネジメントでは、ものごとと一体となり、一体となって動くこと(一体一如)が必要である。チームがひとつになれば大きな力を発揮できるが、チームがバラバラでは力は発揮できない。
チームがひとつになれないのは、エゴがあるからだ。そこで我を捨て、自己を忘れて無になること(心身脱落)が重要になる。そして、ただひたすらにやるべき仕事に打ち込む(只管打坐)ことだ。これにより自己の持っている機能をすべて発揮すること(全機能)が可能になる。
この禅的マネジメントは、理屈で覚えても、いざという場合に対処できない。禅の実践(日々の坐禅)を続けていく中で、この感覚を身体で覚えることができてくる。誰しも抱えている悩みや迷いがあるがこだわりを捨ててみてほしい。まったく違った世界が見えてくるだろう。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授