3、ユーザーの「ツッコミどころ」がどこにあるかを把握する
ユーザーが知りたい情報、うさんくさい、悪事の匂いがすると感じている部分について、逃げずに答弁しないといけません。もちろん知っていることと知らないことの区別をします。ユーザーの「ツッコミどころ」がどこにあるかはTwitterなどの投稿の流れを見ていれば、社会の空気が読めて、伝えるべき情報の核心が見えてきます。そうすれば5時間半も押し問答が続くことはありません。
4、心から謝罪し、誠意を見せる
ほとんどの事件で、100対0で一方的にどちらかが悪いということはあまりありません。しかし、相手にも非があるような言い訳は最悪です。相手の(ユーザーの)心情に火を付けてしまいます。
一切言い訳はせず、言葉尻にその匂いも出さず、120%悪いくらいのニュアンスで謝罪するのが適切でしょう。SNSは怖い反面、まっとうな意見による「揺り戻し」も必ず起こります。真摯に正直に対応すれば、あなたの擁護者が現れますし、違う角度の考え方や意見も出てきます。あなたが自分で自社を守るのではなく、社会の中からホワイトナイトが出現するのを待つのです。
5、グッドニュースを提供する
事故なら復旧策、組織内不祥事なら刷新人事、商品不具合なら回収、おわびインセンティブ、新商品発表など、グッドニュースで上書きしていかなければなりません。間違っても人のうわさも75日と、解決策を先延ばしにして、ユーザーが忘れるのを期待してはいけません。毎日のように新しいニュースが生まれ、どんどん関心事も移り変わるのは事実ですが、関連ニュースが出た時に必ず「一連の事件」としてひも付けられて復活露出します。議員の不祥事が起きた際には「号泣県議事件」など今後必ず出てくるでしょう。ピンチをチャンスに変えるグッドニュースを提供し、イメージを良くするところまで対応しておくのがとても重要なことだと思います。
さて、「リクルートOBのすごいまちづくり」の私の章では、「リスク・コミュニケーション」についてではなく、同じ(もしくは少ない)予算で政策効果をどうあげていくかという「マーケティング・コミュニケーション」について執筆しました。有吉弘行さんを起用した「おしい!広島県キャンペーン」や葉加瀬太郎さんに楽曲提供をしてもらった「もうひとつの京都キャンペーン」など、民間の力を借りながら部局横断プロジェクトを推進していくと、地方はもっと元気になるという事例を書いています。
私に限らず12人の執筆者は、「1日100枚の名刺をもらうまで帰社しない」「理解しあえるまで徹底的に夜通しでも話し合う」「考える前にまず動く、考えながら動き続けるというフットワーク」「とにかく前向き、ひとなつこい、懐にどんどん入っていくという厚かましさ」など、リクルートのDNAに染み込んでいる「泥臭さ」で、地方創生に取り組んでいます。このように人と人が結び付き、化学反応を起こすことがイノベーションの起点になるのは地方自治体も企業も同じでしょう。
変化、進化をプロデュースするには、人の組み合わせ(人事異動など)だけではうまくいかず、化学反応を起こす仕組みや情報などの触媒をどう提供するかがリーダーに求められています。多様性というと耳に優しいですが、異物を受け入れる度量、違和感を飲み込む風土など組織トップの懐の深さがより必要な時代が訪れていると感じます。
1963年生まれ。神戸大学経済学部卒業。
リクルートで人事、雑誌編集長、福岡ドームでイベントプロデュースを担当後、2000年アイ・エム・ジェイの代表取締役社長に就任し、ナスダックジャパン(現ジャスダック)に上場。国内最大手のweb構築企業に成長させる。
映画子会社は「NANA」「るろうに剣心」などのヒット映画も製作、日本アカデミー賞なども受賞。
広島県庁で企画した「おしい!広島県!」と、京都府庁で企画した「もうひとつの京都」が、ショートショート・フィルムフェスティバル&アジアで観光映像大賞(観光庁長官賞)を2度受賞。
前兵庫県議会議員、かもめ地域創生研究所理事、地域創生サミット相談役
CAP代表取締役社長。
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【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授