テーブルに並ぶ料理の味を、ちゃんと言葉で表現して味わって食べているか。おいしい食事、お酒の味も、香りから、舌触りからちゃんと言葉で表現してみる。こういうことが言葉磨きにつながります。
高山さんは言います。「言葉を磨くということは、そのまま感性を磨くことになります。もっと言うと、人間性を磨くことだと思っているんですね。だから、単に “おいしい”とか“めっちゃうまい”とか言っている場合じゃないんです。こういうことは身近な話ですよね。“ちゃんと言語化しましょう”というのが1つ目です」
2つ目のトレーニングは、「感じる」です。
日常にはそこここに小さなドラマがあり、そこにはさまざまな感情があります。その感情を「感じる」トレーニングをしましょう。
例えば、外からのぞく居酒屋の風景。盛り上がっているサラリーマンの人達がいます。
「“あ〜、また会社と上司の悪口言って楽しそうだな〜”と、勝手にドラマを作って、“日本の未来を頼むぞ!”と心でつぶやくのです。このちょっとしたドラマに意識を向けると、感情が分かるようになるんですね」と高山さん。
3つ目のトレーニングは、「あいさつだけで終わらない、一言付け足す努力」。
高山さんは、あいさつの後に「どう?」を一言付け加えよ、とアドバイスします。「おはよう」と言った後に「調子どう?」と。
「“まあまあです”“そうか”って。僕が見ているのはリアクションなんですね。リアクションをみれば今日のコンディションが予測できますよね。会議が終わって、ため息なんかつきながら帰ってきたら“お疲れさま”って言うじゃないですか。その後に“大丈夫?”って聞いてあげなさい。聞くだけでいいんです。もし“大丈夫じゃないです”って言われたら、“がんばれよ”って(笑)」
もし「大丈夫じゃないです」と言われたら、「じゃあ、ちょっと話聞こうか?」。それで相手が「はい、聞いてください」と言ったら、個別に話す時間を取れば良い。それが部下や同僚の感情理解とフォローの機会になります。
EQを学べば学ぶほど、言葉の大切さを思い知らされると高山さん。あいさつの一言、ありがとうの一言に思いを込めることで、言葉に魂が入る。言葉に出すことは本当に大事です。「プラス1個の声がけ」、ぜひやっていきましょう。
四季の味わいの件は、まずは「目を向けましょう」ということですが、実際に言語化することは難しいですよね。僕も飲んだり食事したりして「うめー」とか言っていますが、「どううまいんだ?」と聞かれたら、言葉にならない(苦笑)。
語彙を増やすのにお薦めなのは、小説を読むことです。
ドラマや映画も良いですが、小説では感情の表現なども全て文字になっているので、すごく勉強になります。高山さんは赤鉛筆を持って、感情に関する言葉を探し出して線を引く読み方をしているそうです。
ちなみに高山さんは、カラオケでもモニターの歌詞を追うことも情報源にしているそうです。確かに時代を切り取るアーティストたちの使っている歌詞の中の言葉、フレーズは生きた語彙を増やすネタになりますね。
感情を言語化するトレーニングとして、さまざまな場所で言葉や表現をメモする。小説を読む。気になった言葉は全部インプットしてみると良い。
高山さんの携帯のメモは言葉だらけだそうです。それぐらい常に感情に関する言葉に意識を向けて、気になった言葉は全部インプットすることで、EQはどんどん磨かれていくのだと思います。
株式会社経営者JP 代表取締役社長・CEOに
早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。その後、現リクルートエグゼクティブエージェントのマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。2万名超の経営人材と対面してきた経験から、経営人材の採用・転職支援などを提供している。2021年、経営人材度を客観指標で明らかにするオリジナルのアセスメント「経営者力診断」をリリース。また、著書には、『社長になる人の条件』『ずるいマネジメント』他。「日本経済新聞」「朝日新聞」「読売新聞」「産経新聞」「日経産業新聞」「週刊東洋経済」「週刊現代」「プレジデント」フジテレビ「ホンマでっか?!TV」「WBS」その他メディア出演多数。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授