機械学習やAIでセールスを変革するLayerX――BizOps部 鈴木崇之部長デジタル変革の旗手たち(2/2 ページ)

» 2024年09月11日 07時03分 公開
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生成AIの活用で業務の自動化に取り組み、業務そのものを変革する

 DevOpsをはじめ、MLOps、CS Opsなど、現在「○○Ops」という取り組みは数多くある。例えばDevOpsは、開発と運用を融合してシステム構築の生産性を向上させる取り組み。鈴木氏がバクラク事業部で担っているBizOpsは、データの活用によりビジネスとオペレーションを連携し、組織運営の効率化を実現する取り組みである。LayerXでは、特にセールスの生産性を向上することがBizOpsが期待されているという。そのためにはカスタマーサービス(CS)部門やマーケティング部門、IT部門など、さまざまな部門が連携することが重要になると鈴木氏は話す。

 「私自身のミッションとして、バクラク事業におけるBizOps推進があります。BizOps部は、“バクソク事業拡大とバクラク顧客体験を両立させる”というミッションに基づき取り組みを推進しています。現在、バクラクは、SaaS事業としてかなり良いペースで顧客数を拡大していますが、この成長のペースを落とすことなく、バクラク顧客体験をより一層向上させることを目指しています。事業拡大と顧客体験の向上はトレードオフになりやすいのですが、これらを両立させるために必要なことは何でもやる組織がBizOps部です」(鈴木氏)

 現状、バクラク事業部でBizOpsを担う人材の仕事内容は多岐にわたるため、明確な定義が難しいものの、その概念はどの企業においても適用できるものだろう。LayerXとしては、データとAIによるセールスの生産性向上を社内で活用するだけでなく、顧客向けに展開することも計画している。その先にあるのは、AIによる最高にシンプルで磨かれたユーザー体験を作り出し、業務そのものを再構築していく「AX(AI Transformation)」だ。

 鈴木氏は、「以前は紙で管理していた情報がオンプレミスで管理されるようになり、さらにクラウドに移行するデジタル化により、業務の生産性は向上していますが、これではデータの格納先がオンプレミスからクラウドに移行されただけで、業務の本質は変わっていません。今後、生成AIを活用して業務の自動化に取り組んでいけば、業務そのものを変革することが可能になります。例えばバクラクのAI-OCRでは、アップロードされた請求書の内容を自動的に読み取り、バクラクの画面に展開することで、経理担当者による請求書データの入力が不要になります。今後もAIにより業務をなくす取り組みに注力していきます」と話す。

聞き手プロフィール:浅井英二(あさいえいじ)

Windows 3.0が米国で発表された1990年、大手書店系出版社を経てソフトバンクに入社、「PCWEEK日本版」の創刊に携わり、1996年に同誌編集長に就任する。2000年からはグループのオンラインメディア企業であるソフトバンク・ジーディネット(現在のアイティメディア)に移り、エンタープライズ分野の編集長を務める。2007年には経営層向けの情報共有コミュニティーとして「ITmedia エグゼクティブ」を立ち上げ、編集長に就く。現在はITmedia エゼクティブのプロデューサーを務める。


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