視点1 過去に自分は何にお金を使ってきた?
あなたは、昨日どんなことにお金を使ったのか、すぐに思い出すことができますか?つい昨日のことでも、はっきりと正確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。お金を使っていても何に使ったのか覚えていないと、なんとなくまだお金を持っているような錯覚に陥ってしまい、どんどんお金が出て行きます。でも、その日お金を何に使ったのか、きちんと記録していれば、毎日の生活の中で自然と忘れていくちょっとした出来事や貴重な経験も、「お金」をきっかけにすぐに思い出すことができるのです。
まずは、「自分が何にお金を使ったのかよく分からない」という状態から、「わたしはこんなことにこれだけのお金を使った」としっかり把握できるように記録してください。
視点2 今、自分はいくらお金を持っている?
お金をためるための出発点として、自分はあとどれくらいお金に余裕があるか、限界はどこかを把握すること、つまり、自分の使えるお金はいくらなのかをきちんと確認することが重要です。具体的には、おサイフの中に入っている現金や銀行の預金などについて、現金なら実際に数えたり、銀行の預金なら通帳を記帳したりして明確化します。最初は「たったこれだけしかお金がないんだ……。」と目を背けたくなるかもしれませんが、現実を直視すること、これがとても大切なのです。
今の自分が持っているお金を把握していないために、それよりも多く使ってしまうと、どうなるでしょう? 自分以外の誰かが払ってくれるわけでもなく、未来の自分がそのツケを払うことになるのです。2つめは、「今、自分が持っているお金はいくら」ということを明確に記録することです。
視点3 未来の自分のお金はどうなっていく?
あなたは、5年後、10年後の自分のお金はどうなっていくと思いますか? 少しずつでも確実に増えていくでしょうか? それとも逆に今よりも減ってしまうでしょうか? あるいは、現状維持のままずっと進むのでしょうか? 当然のことながら、お金が増えていくならそれに越したことはないのですが、もし、何かの原因でお金が減ることが予想されるなら、早めにその対策を考えなければなりません。
国税庁が毎年実施する統計調査によると、サラリーマンの平均年収は近年どんどん減り続けているという結果が出ています。何もしないで年収が上がる時代はもう既に終わったのです。それならば、これから先、月々いくらの収入があるのか、そして、生活費やその他の支出で毎月いくら必要なのか、そしてその結果、自分のお金はどうなっていくと予測できるのかをしっかり記録して、それに備えておく必要があるのです。
1973年香川県生まれ。公認会計士、税理士、証券アナリスト。外資系大手会計事務所、国内大手監査法人において多数の金融機関の会計監査を担当。その後、金融機関に転職し、女性最年少で経理・財務部門の責任者として勤務する。監査法人時代から担当する金融機関のほか、その投資先企業や融資先企業も含め、800社以上の有価証券報告書や決算書を分析。同時に300人を超える経営者へのインタビューを通じ、「使える」会計知識の重要性を実感。2008年に独立し、会計や税務分野のコンサルティング活動を行うとともに、経営者の数字読解能力向上に重点に置いたサポートやセミナーに力を入れている。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授