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» 2012年06月08日 08時00分 公開

『海遊記』著者 仁木英之さん話題の著者に聞いた“ベストセラーの原点”(3/3 ページ)

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ギャルゲーの二次創作からオリジナル小説へ

 ――仁木さんが作家になろうと思ったきっかけがありましたら教えてください。

 仁木:「小学生時代はよく本を読んでいたんですけど、思春期に入るとエロ本ばっかり読むようになって、それから30歳くらいまでエロ本しか読んでいなかったんですよね(笑)僕は26歳の時に独立して塾を経営して、それから4、5年は忙しかったんですけど、31歳くらいの時にがくっと暇になったんですよ。その時にとあるギャルゲーをやりまして、そこから二次創作にハマったんです」

 ――最初は二次創作だったんですね。

 仁木:「そうですね。で、その『CLANNAD』っていうギャルゲーの二次創作にハマって文章を書き始めたんですけど、その時の仲間にオリジナルの小説を書かないかって言われて、書いてみたら今度はオリジナルの魅力にハマったんです」

 ――初めてオリジナルの小説を書いた時の感想を教えていただけますか。

 仁木:「こんなに自由なんや! と思いましたね。どうしても二次創作だとキャラクターと設定は決まっているじゃないですか。最初はそれが楽だったんですけど、だんだん窮屈になってきてしまったんです」

 ――仁木さんといえばご趣味で格闘技をされているとのことですが、格闘技の魅力はどんなところにあるとお考えですか?

 仁木:「格闘技って筋肉バカがやるように思われがちですけど、実はすごい頭脳戦なんですよ。総合格闘技もフルコンタクトの空手も体全体を使う将棋です。いかに自分の櫓を守るか、飛車を攻めるかということを考える。一瞬でも気を抜くと負けてしまうし、手を尽くせば自分より強い相手でも互角に戦える。そういうところがゲームとしてすごく面白いんです」

 ――小説を書くことと共通点はありますか?

 仁木:「なんでしょう。とにかくやっている時はそのことだけに入り込めるというところは両方同じですね」

 ――仁木さんが人生に影響を受けた本を3冊ほどご紹介いただけますか。

 仁木:「1冊目は吉川英治さんの『三国志』ですね。一番最初がそれでした。2冊目が開高健さんの『オーパ!』。もう1冊は小田実さんの『何でも見てやろう』です。これはいまだに行き詰まると読んでますね。気持ちがスッとするんです」

 ――小学生時代まではたくさん本を読んでいらしたということですけども、当時はどのような本を読んでいましたか?

 仁木:「当時は今あげたようなものとか、平井和正さんの『幻魔大戦』や栗本さ んの『グイン・サーガ』などを読んでいました。とにかく雑食でしたね。『のらくろ』から百科事典まで本当に何でも読んでいました。中学生 になるとエロとアニメに行ってしまったんですけど(笑)」

 ――インターネットで、好きなサイトやよく見るサイトはありますか?

 仁木:「今はツイッターにいることが多いです。小説を書きながらタイムラインを流しておいたりしてます」

 ――ツイッターが出てきたことでファンの方とコミュニケーションを取る機会が増えたかと思いますが、そういったことは作風に影響を与えたりしますか?

 仁木:「それはないですよ。読んでくれた人はこんな風に考えているんやな、と分かることはありますけど、それがすぐ何かに反映されるということはないです。あくまで何千何万という方の中の一つの意見なので」

 ――今後の執筆予定を教えていただければと思います。

 仁木 「朝日新聞出版から五代史シリーズの第3弾『耶律徳光と述律』が出ます。あとは来月講談社から『千里伝』の第3巻が出ます」

 ――最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いいたします。

 仁木:「敷居が高そうに見えるかもしれませんが、低いのでぜひ読んでみてください」

取材後記

 お会いした仁木さんは、関西弁で小気味よく話す、気さくな方。仏教関係のお話をしていただいた時は、的確な具体例を交えて説明してくださったので理解しやすかった。『海遊記』は、ご本人が「敷居が高そうに見えるかもしれませんが、低い」と語るように、純粋に冒険小説として素晴らしい作品なので、宗教を扱っているからといって身構えずに、ぜひ一読してみてほしい。

(取材・記事/山田洋介)

著者プロフィール

仁木 英之

1973年大阪府生まれ。信州大学人文学部卒業。

在学中には北京に留学、その後、塾講師などを経て2006年『夕陽の梨』で第12回学研歴史群像大賞最優秀賞を、 『僕僕先生』で第18回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。 同作は『薄妃の恋』『胡蝶の失くし物』『さびしい女神』『先生の隠しごと』とシリーズ化され、人気を博す。 ほかに『千里伝』『朱温』『高原王記』『くるすの残光』『黄泉坂案内人』など著書多数。


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