組織の体幹=共通言語。探す、みつける、鍛えることがリーダーの仕事ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2019年08月08日 07時16分 公開
[河口紅ITmedia]
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 ところがEGを導入すると、特性の違いにより人それぞれ得意な事と不得意な事に違いがあり、これは能力の優劣とも違うことが理解できるようになります。先ほどの部下は「使えないやつ」ではなくあなたと得意が違うだけで、別の仕事だと能力を発揮できる可能性があるのです。

 EGが定義する4つの思考特性は人との「違い」を客観的な数値で表してくれるので、例えば母国語が異なる人同士であっても、共通の価値観を共有し、互いを尊重し補完し合う事ができる「最強のチーム」作りを支える共通言語として使えます。

 4つの思考特性には次のような特徴があります。

【分析型】物事を明確にしたい、論理的な問題解決、根拠を求める、データや数字を重要視する、理性的

【構造型】現実的な思考、ガイドラインを好む、実践より学ぶ、新しいアイデアには慎重、コツコツ積み上げる

【社交型】他の人から学ぶ、感情的、同情的、人をサポートすることが好き、直観的に人を判断する

【コンセプト型】想像力豊か、アイデアに対して直観的、変わっていることを好む、イメージが頭に浮かぶ

(一目で分かるエマジェネティックス(R)思考・行動特性チャートより)

 誰でもこれら4つの思考特性を全てもっていますが、無意識で使える得意な特性と意識して使わないとできない苦手な特性があります。EGでは23%以上の割合がある思考特性のことを顕性とし、その人の強みであると定義していますが、人生経験や生まれつき持つ遺伝子により思考特性の割合はみんな違います。

 先ほどの例でいうと、仕事の指示を出した上司は校正などのチェックが得意であることから、「コツコツ積み上げる」構造型思考に強みがあると予測されます。逆に部下は苦手な仕事だったようなので、コンセプト型思考を強みとして持つ人なのかもしれません。

 それぞれの強みや得意が違うことが頭では分かったとしても、組織の中ではそれは認められず、能力の優劣として評価されがちです。しかしこれからの社会に適応していくためには、一人一人違う持ち味を発揮することができる多様性をもつ組織づくりが必要だと思います。そして多様だからこそ共通言語が重要なのです。

 これまで多くの企業にEGを導入してきましたが、導入後の感想として多くの企業が「社内の共通言語ができた」と言ってくれました。共通言語ができたことで風通しが良くなったとの感想も多数ありました。それほど重要な共通言語づくりこそ、リーダーが真っ先に取り組む仕事だと私は考えています。組織の体幹=共通言語をつくって最強のチーム作りを目指しましょう。

著者プロフィール:河口紅(かわぐちくれない)

NPO法人さんぴぃす・NPO法人アクティブ・ラーニング・アソシエーション 理事長

株式会社リクルートを1991年に退職後、独立し人材育成事業を開始。アメリカで開発されたプロファイル技術「エマジェネティックス」のEGIJ認定アソシエイトの1期生として多くの人材育成研修を実施。2004年にNPO法人「さんぴぃす」を設立し理事長に就任。学校教育支援・子育て支援・まちづくりなどの新規事業の立ち上げにも多数関わる。大学で非常勤講師としてキャリアの講義などを実施すると共に、行政が主催する地域での市民向け生涯学習や自己啓発セミナーなどさまざまな講習会も手掛けている。エマジェネティックスに関するお問い合わせは<office@ala-career.com>まで。


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