開発組織が、言われたことをこなしていこうとする受け身の組織から、こうした強化されたパートナーシップ関係を持つ組織に変わっていくためには、組織のチェンジマネジメントが求められます。それゆえ、BRM活動は、組織の文化を進化させるための活動が重要と考えています。
例えば、使う言葉一つとっても重要です。「それはビジネス側の問題」ととらえるのか、「それは私たちの問題」ととらえるのかでは、大きなマインドセットの違いがあるとともに、それが私たちの振舞いに表れてきます。
組織の文化に影響を与えるには、ストーリーテリングが効果的です。私たちが目指している姿をもとに、私たちはその望ましい姿を他の人に共感を呼ぶ形で語り続け、聞き手が望ましい姿に対する自らの物語を創造できるように助けていきます。
そして、望ましい行動を強化するため、望ましい行動が何かを明確にするとともに、リーダーやインフルエンサーが実例を行動で示していくことが重要です。組織の継続的、漸進的な行動変容に影響を与え続けることで、新しい文化として組織に定着していくのです。
BRM活動は、実際のソリューションの開発そのものを行う活動ではなく、またビジネスオーナーとしての活動でもありません。それゆえ、BRM活動は、ビジネス組織と開発組織の間で、新しいビジネス価値の創造を推進し実現することが、主たる役割になります。
多くの事業組織において、プロジェクトやプロダクト開発を行った時に、最初に企画されたビジネス価値の実現を最後までフォローアップするのは誰かという問題を抱えているのではないでしょうか。BRMを役割として定義している組織では、BRM人材が、組織でのアイデア形成の段階から運用にいたるまでのすべてのライフサイクルで、価値実現という観点から関わっていきます。そうであるならば、ビジネスアナリストと何が違うのかと思う方もいると思います。
こうしたBRMの役割はプロジェクトのフェーズを超えているため、プロジェクトの現場でビジネスアナリシスを実践している人材よりもシニアな目線や視野を必要とします。海外では、ビジネスアナリストをプロジェクトレベルの役割として限定的に定義する組織もよく見られ、こうした組織においては、ビジネスリレーションシップ・マネジャーは、ビジネスアナリストより上位の役割として定義されます。
また、ビジネスアナリストより上位の役割として、ビジネスリレーションシップ・マネジャーとビジネスアーキテクトが存在することもあり、両者で役割を分けながら連携して活動している場合もあります。事業会社の情報システム部門のようなシェアードサービス部門で言えば、最も上位のBRMの役割を担うべきはCIOだとも言えます。
ビジネスリレーションシップ・マネジメントは、すでにグローバル企業では実践されているプラクティスであり、知識体系としても整理されている領域です。ビジネスアナリシス活動を、より高いパートナーシップの下でより高い付加価値を生み出していくものにするためにも、重要なスキルとプラクティスと言えます。また、組織の中で、より明確な責任と枠割モデルをデザインするために、ビジネスアナリストとビジネスリレーションシップ・マネジャーの役割を分けて定義することも有効な手法と考えられます。それぞれの組織のコンテキストにあわせて、最適な形でBRMのスキルとプラクティスを活用していくことが、組織力強化のために重要と考えます。
株式会社クリエビジョン代表取締役
IIBA認定CBAP(R) (Certified Business Analysis Professional)
BRM Institute認定BRMP(R)(Business Relationship Management Professional)
Open Group認定TOGAF(R) Enterprise Architecture Practitioner (TOGAF(R)10)
Open Group認定TOGAF(R) Business Architecture Foundation
米国PMI認定PgMP(R)(Program Management Professional)
米国PMI認定PMP(R)(Project Management Professional)
Scaled Agile認定SAFe(R) SPC(SAFeR Practice Consultant)
【略歴】
(株)クリエビジョンのサイトからビジネスリレーションシップマネジメントの紹介をしています。
BRMP(R) Textbook (Japanese): Japanese Kindle版がアマゾンで販売されています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授