そこでご提案したいのが、今のうちに自分のビジネスを始めておくことです。そんな思いで書いたのが『週末起業サバイバル』(筑摩書房)です。
わたしは、すべてのサラリーマンが、自分のビジネスを持つべきだと思っています。ただし、会社を辞めて始めるのは危険です。最初は分からないことだらけですし、初めからうまくいく可能性は低いからです。そもそも、自分にどんなビジネスの適性があるかがわかりません。
そこで、会社にいるうちに、週末や会社の勤務時間外を使って、自分のやりたいこと、自分らしいことを、試しにビジネスにしてみることをお勧めしています。これを「週末起業」と名づけ、ご提案してきました。活動を始めてから、今年ではや10年です。おかげさまで、たくさんの成功事例が誕生しています。
例えば、会社に勤めながら、趣味のグッズを売るネットショップを立ち上げる人や、講師やコンサルタントをする人、中には夜と週末だけ営業する飲食店を始める人まで現れています。
もともと、わたし自身が会社勤めをしながら、経営コンサルタントの仕事を始め、2年間で本業の所得を超えました。この体験を生かして、同じような境遇にあるサラリーマンに指導をしているのです。
実践したビジネスパーソンの多くが「副収入」と「やりがい」を手に入れています。会社を卒業した人もいます。彼らは、今後万が一、倒産やリストラ、解雇などで本業からの収入が途絶えても、路頭に迷う心配はありません。
ところで、わたしは、これまで「週末起業」を希望する人には「焦らず、あわてず、マイペースに取り組みましょう」と言ってきました。理由は、とりあえず「給与所得」という収入源を確保できているわけで、焦る必要はないと考えていたからです。
マイペースだからこそ、本人の成長に合わせて、堅実に進むことができます。
また、マイペースだからこそ、ユニークなビジネスが生まれる余地があります。それこそが、週末起業の魅力だと信じてきました。しかし、今サラリーマンのおかれた現在の厳しい状況を考えると、あまりのんびりしていることができなくなっていると感じています。
不測の事態が、いつ、誰を襲うか、分からなくなってきました。誰もが、できるだけ早く、第2、第3の収入源を確保しておくことが必要になりつつあると感じます。
その手段の1つが「週末起業」です。
もちろん、決して唯一の答えとは思っていません。他にも、投資やアルバイトなど、いろいろな手段があります。
ただ、週末起業には、やりがいがあります。自分のやりたいことを、やりたいようにできますので、自分の好きなことや得意なことを生かして始めれば、大いに充足感が得られます。
また、ビジネスが軌道に乗れば、収入の規模が、大きくなります。本業の所得を超える人さえいます。さらに、起業の訓練になります。起業には、資金調達やマーケティング、雇用、納税など、さまざまなスキルが求められます。
この辺りを、自分のビジネスで試行錯誤しておけば、やがて本当の起業家として、会社から独立することができるようになります。このように、やりがいと実益を兼ねている、すばらしいワークスタイルが「週末起業」です。
会社を辞めてしまわないので、大したリスクはありません。失敗すれば、元に戻るだけです。誰もが一度は検討するべきだと思います。
NPO法人週末起業フォーラム代表。株式会社アンテレクト代表取締役社長。
慶応義塾大学を卒業後、大手金融系の会社でマーケティングを担当の後、米国駐在を経て独立。中小企業と起業家に対して経営コンサルティングを始める。会社を辞めずに自分のビジネスを始めてしまう起業スタイルを「週末起業」と名付け、この新しい起業スタイルを全国のビジネスパーソンに普及させるべく、2002年6月「週末起業フォーラム」を設立。著書にベストセラー『週末起業』(筑摩書房)他多数。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授