このような事例があった場合、上司失格と思われる人は、お客様の困りごとの解決よりも先に犯人捜しを始めます。犯人を見つけたら、なぜ対応しなかったのだと吊し上げます。しかし大事なのは、原因を追究し、トラブル解消に努めることです。決して犯人を見つけることではありません。本来の目的を見失っているのです。
数字目標だけを部下に要求する上司もまったく一緒です。本来はお客様により良いサービスや価値を提供し、その対価としてお金を頂戴します。しかし会社から数字目標をいわれるとそれが目的となり、お客様のことを考えずに、目先の結果をあげることを部下に要求します。部下からしてみれば、数字をあげるためだけに働いている気持ちになり、何のために仕事をしているのかという意味が見いだせなくなってしまいます。
このようなタイプの上司は、自分が絶対的に正しくて、周りが間違っていると思い込んでいる人に多いようです。部下からの報告も自分の目で見るまで信じないことが少なくありません。いわゆるジャイアンタイプの上司です。部下が提案してきても、自分の考えに合わなければ却下。自分が決めることが絶対。でも自分の上司から言われると、手のひらを返したかのようにOKを出してしまう。そんな姿を見て、部下は失望しているに違いありません。
一方で、それとは対照的に自分で全く決められない優柔不断な上司もいます。部下から提案されても、先送り。すぐに決めません。すぐに決断できることであっても、皆の意見を聞こうということで備品を購入することさえ、会議を開いて決めようとします。自分で意見を持っていないので、場の空気に流されます。部下から反対されると、気持ちがそちらへ傾き、また別の部下から違う意見を言われるとそれを取り入れたくなる。自分を持っていません。
いずれのタイプの場合においても自分がどういう意思決定を行っていて、それが周りからどう見られているかを客観的に見る必要があります。自分自身を把握していないため、自分の行為が人の気持ちを盛り下げていることに気が付かず、上司失格と思われる人になっているのです。自分は大丈夫なのかを今一度確認する必要があります。
繰り返しになってしまいますが、上司失格と思われる人の共通項は、「自分は大丈夫。しっかりできている」と思っている人に多い気がします。常に自分は大丈夫だろうか?と振り返りながら、マネジメントの仕方を「知っている」で終わらせるのではなく、「できる」ようになってください。「知っている」と、「できる」では10倍違うといわれます。本書の事例やチェックリストを利用し、上司失格ではなく、上司最高と思われる人になってください。
富山県生まれ。1999年青山学院大学経済学部卒業。株式会社リクルートエイブリック(現リクルートエージェント)に入社。連続MVP受賞などトップセールスとして活躍後、株式会社リクルートを経て、2009年に人材採用支援会社、株式会社アールナインを設立。これまでに1200社を超える経営者・採用担当者の相談や、5000人を超える就職・転職の相談実績を持つ。
北陸学院大学にて非常勤講師を務めるなど、全国で学生・ビジネスパーソン、また経営者を対象に、年間約250回のキャリア・採用に関する講演、セミナーを行う。著書に「会社では教えてくれない仕事のルール(クロスメディア・パブリッシング)」「今こそこんな上司は辞めなさい!(明日香出版)」がある。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
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明治学院大学 経済学部准教授