そもそも経営者が200人も集まって、予算がないというのもヘンな話です。豪華な懇親会を開く一方で、話を聞くために、みんなでお金を出し合おうとはしないのです。
これは「熱意がある」とはいいません。懇親会には1人5000円ずつ出しています。それで200人ですから、けっこうな金額です。そのくせ、講演代は出さないで、お車代だけです。「予算がない」は、事を起こさないための便利な言い訳です。そういう人は、たとえ予算があっても何もしないのです。
遠くの地方へ講演に行くと、「まさか来てもらえるとは思わなかった」と言われます。そういうところは大体、質疑応答で質問が何も出ません。普段から「予算がない」と言い続けていると、それに甘えて、いつの間にか熱意がなくなっていることに気付かなくなります。
予算がある人は、甘えられません。ないのは熱意だとバレるからです。グズグズする人は、自分の熱意のなさを予算のなさにすりかえてしまうのです。
グズグズする人は、リスペクトがない。「リスペクト」とは「その人から教わるのはこれが最後かもしれない」という覚悟。リスペクトがあると、グズグズしなくなります。リスペクトの定義は、「その人から教えてもらえるのは今日が最後かもしれない」という覚悟です。
普段、会ってもらえない人に会っているのです。「先生の本をほとんど読んでいて、ファンなんです」と言うのは、単なる「好き」です。「好き」と「リスペクト」は違います。「こんなに好きだから、会ってください」と言いますが、リスペクトがあれば、不用意にそんなことは言えないのです。
中谷塾に、経営者で作家の大城太さんが来てくれたことがあります。大城さんは、華僑の金銭哲学についての本を書いている人です。せっかくだから、みんなにひと言、アドバイスをお願いしました。
大城さんは、「中谷塾に来ている人たちは簡単に中谷先生に会えると思って油断している。自分は緊張のあまり吐きそうだ。甘えちゃダメだ」と、怒りました。会えるのは相手が会ってくれているからです。それに甘えてはいけないのです。
「予算がないんですけど」と言うところに講演に行くと、「お忙しいんですか」とか「お忙しいんでしょうね」という、ふんわりした聞き方をされます。その言い方にはリスペクトがないのです。
グズグズする人は「好き」が優先します。「好き」には「リスペクト」はついてきません。自分が「好き」と「リスペクト」とを混同していることにも気付いていません。好きだったら、別に何をしてもいいのです。一方で、リスペクトがあると、モタモタしていられなくなります。
好きな人といる時は、もっと長時間一緒にいたいので、グズグズします。リスペクトがある人には、グズグズしていたら二度と会ってもらえません。実は、「好き」と「リスペクト」とは真逆のことです。「好き」でグズグズする人と、「リスペクト」でグズグズしない人とに分かれるのです。
グズグズしている人の周りには、グズグズした人が集まります。グズグズしない人の周りには、グズグズしない人が集まります。部下がグズグズしているとすると、リーダー自身がグズグズしているということなのです。
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は、『グズグズしない人の61の習慣』(きずな出版)など、1050冊を超す。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授