「0秒で動ける」ようになるための頭の働かせかた、鍛え方ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2019年10月03日 07時08分 公開
[伊藤羊一ITmedia]
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 世の中には、さまざまな情報が飛び交っている。私たちはそれを知識として吸収する。で、多くの人は、それで終了してしまっている。知識が知識として独立して頭の中にしまわれるわけだが、知識は使われない限り、すぐ忘れてしまう。これを避けるために、知識と知識をつなぎ合わせて、「つまりこうかな?」という意味の固まり(これを仮説と呼んでいる)を、頭の中で考えておく。

 例えばこういうことだ。自分が新人の頃、上司がつらい局面でも逃げなかった。同僚が、チャレンジングなアサインに積極的に立ち向かい、チームを率い成果を出した。読んでいた漫画で、リーダーがピンチの時に仁王立ちしていた。そういう事例に触れたら、「おお、こういう事例をまとめてみると、「リーダーは困難には逃げずに立ち向かっていくことが重要なのか!」と「自分なりに考えること」を妄想し、頭の中にストックしておく。

 つまり、上に出てきた3つの事例に「逃げない」というくくりがついて頭の中にしまわれる。これを年がら年中やっておく。つまり、情報を仕入れたら、「だからなんだ?」「ほかにはないか?」と考え、そこから導き出せることを考えてみる。これを私は「仮説力を鍛える」と言っている。

 そうすると何がいいか。まず、3つの事例がひとかたまりになっているから、忘れにくい。そして、いざこういうテーマで考えなければならないことが発生した際、その組み合わせをそのまんま頭の引き出しから出してくることができるのだ。「結論と根拠のピラミッド、のようなもの」が、頭の中にたくさん格納されているので、さっと頭から出して、瞬時に思考を行うことができる、ということだ。

(4)「すげー、やべー力」を鍛える(好奇心をもつ)

 結論と根拠を瞬時に出していくためには、やっぱりたくさんの知識を頭の中に入れておくことはプラスになる。ただ、義務感で勉強するのでは続かないし、身につかない。好奇心を持って情報に触れるといい。好奇心を持つためにオススメな習慣は、さまざまな情報に対し、「このニュースはすげー!」「この製品はやべー!」と、口に出して騒ぎながら触れることだ。これはふざけているのではなく、好奇心を「形から育成していく」ために私が実際に身につけてやって、効果が出た方法だ。

 脳科学的な根拠もあるようで、「すげー!やべー!」と言っているのは自分なのだが、その音声を耳に入れる際には、誰が主語か認識せずに、「このニュース=すごい」という情報として頭の中に入る。要するに自作自演なのだが、これで、一つ一つの情報が「すごいもの」「やばいもの」「そうでないもの」と区分けしてインプットされると、世の中にあるさまざまな情報に好奇心をもって接することができるということだ。

 

 これまで、「すぐ動けるための思考のスキル」を述べてきた。ロジカルシンキングの教科書にはない、「実効的な頭の使い方」であるが、実は、動ける人は皆、こうした頭の働かせかたをしている。皆さんもぜひ、自分なりの「すぐに動けるための頭の働かせかた」を体得していってほしい。

著者プロフィール:伊藤羊一

ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト Yahoo!アカデミア学長 / 株式会社ウェイウェイ 代表取締役

日本興業銀行、プラス株式会社にて企業金融、企業再生支援、ロジスティクス、マーケティング、事業再編・再生、新規事業開発、経営に従事後、2015年4月ヤフー株式会社に転じる。ヤフーの企業内大学Yahoo!アカデミア学長、グロービス経営大学院客員教授として次世代リーダー開発を行うほか、KDDI ∞ Labo、IBM Bluehub、MUFG デジタルアクセラレーター、始動、Code Republicなど、各種アクセラレータープログラムのメンターとしてスキルトレーニングを行う。

著書「1分で話せ」「0秒で動け」(SBクリエイティブ)


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