「ハイ、チーズ」と言って、人が早く集まるようにすることで、そこにいるチーム全体が右肩上がりになります。
そういう言葉づかいを覚えておくといいのです。
言葉一つで、そこに集まる人が右肩上がりになるか、右肩下がりになるのかが分かれるのです。
大学の授業は遅れて始まります。10時開始の授業で、先生は10時20分、生徒は10時半に来るという世界です。そんなことをしているから、社会に出てから仕事が遅れるのです。
待つより、始めることで、早くなります。
仕事が速い人と遅い人は、仕事を頼んだ時にメモするスピードで分かれます。ペンを出すスピード、メモ帳を出すスピード、書くスピードが速いか遅いかで、その後のスピードが決まるのです。
仕事が遅い人は、メモをしないで頭で覚えようとします。「ハイ、分かりました」と言いますが、依頼している側は「本当に分かっているのかな」と、心配になります。
あるレストランで注文した時のことです。5つ頼もうとして、3つ目を頼んだ時に、ウエイターの人がメモをとっていないことに気付きました。「メモをとらなくて大丈夫?」と聞くと、私がいくつ頼むか分からないのに、「大丈夫です」と言ったのです。それで私は続けて5つ頼みました。その人は、「ハイ、分かりました」と言って、やっぱりメモをとらないのです。
結果、間違ったものが来ました。
私は「メモをとらなくて大丈夫?」を「メモをとりなさいよ」というつもりで言ったのに、その人はそれを理解できなかったのです。メモをとらない人は覚える能力のある人です。
それでも、お客さまの安心感はメモをとってもらうことです。これで「キャッチされた」と分かるのです。メモをとっていないと、「自分のオーダー、大丈夫かな」と、相手にずっとストレスを与え続けることになります。
「仕事が速い」イコール「相手のストレスを減らす」ということです。たとえ覚えることができても、メモをとった方がいいのです。
メモをとる人は間違いません。万が一、間違えたとしても、相手はイラっとしません。メモをとらないで間違えたらイラっとします。
チャンスをもらえる人は、メモをとる習慣のある人です。あるレストランで「料理はいかがでしたか」と聞かれて、私は「ポーションはもうちょっと小さくてもいいかもしれないね」と答えました。この時、「シェフに伝えておきます」と、ただ口で言うだけの人と、メモをとってくれる人とに分かれます。
メモをとってくれた人は、後で伝えていなくても勝ちです。メモをとらなかった人は、後で伝えたとしても、「あいつ、本当に伝えたのかな」という印象だけが残ります。
メモをとるスピードを上げることで、仕事も速くなるのです。仕事が速くなることは、生産性の問題ではなく、付加価値を生み出すこともできるのです。
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は、『仕事が速い人が無意識にしている工夫』(すばる舎リンケージ)など、1070冊を超す。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授