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» 2023年03月22日 07時01分 公開

欧・中・韓の参入で成長が加速するインドのEV市場(2/2 ページ)

[伊澤範彦ITmedia]
Roland Berger
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 Hyundaiは、元よりインド市場に注力しており、堅調にシェアを伸ばしながら、2021年時点では22%と、第2位の座に付けている。2022年12月には、Ioniq5(XUV)の予約受付を開始し、本格的にインドEV市場に参入している。Auto Expo 2023では、他にも新型セダンであるIoniq6や、兄弟ブランドであるKiaのコンセプトカーEV9を展示しており、EVメーカーとしてのプレゼンスも訴求し始めている。

 BYD Auto・MG Motors・Hyundaiの特徴は、既に自国、ないしグローバルで展開済みのEV車種を持っており、それをインドに持ち込めば容易にEV市場に参入できる点だ。また、その分、EVとしてのブランド・実績も有する。BYD Autoは世界最大のEVメーカーであるし、MG MotorsやHyundaiは、既にICE車市場では一定程度の知名度があり、そのメーカーのEVとなれば、ブランドも自ずと付いて来る。

 最後に、欧州系大衆車メーカーの動向を見てみよう。まず、Volkswagenは、前述の通り、MahindraにEVプラットフォームMEBを提供しているのに加え、グループ傘下のSkodaブランドのインド展開に注力している。Volkswagenは、グループ傘下企業に各地域の「リード担当」を割り振っており、Skodaがインドを担当している形だ。Skodaは、インドでのEV展開を表明しており、2023年中に、MEBに基づき開発したSUVのEnyaq iVを本格投入すべく、まずは少数の車両を持ち込んで市場調査を実施するとしている。

 Stellantisは、傘下のCitroenブランドが、Auto Expo 2023で、インド市場向けに特別設計されたコンパクトSUVのeC3(ICE車C3のEV版)を2023年2月に発売すると公表した。eC3は、最高速度はわずか103キロと、性能を抑えており、その分、エントリー価格90万ルピー(約150万円)という安価を実現している。価格としては、Tata MotorsのTiago EVと競合する位置付けだが、一般消費者ではなく、企業向けフリート販売を狙っている。フリートに環境対応車を採用することで税制優遇を受けられる企業に対し、EVを推奨して行くことで、販売台数を増やす戦略だ。

 これまで見て来た通り、2022年にTata Motorsの尽力により急速に立ち上がったインドEV市場は、2023年に入り、地場系両雄のもう1つであるMahindraや、グローバルでEV展開を積極化している中韓・欧州系メーカーの相次ぐ参入により、さらなる活況を呈し始めている。

日系企業はインド市場攻略の道筋を描けるか

 日系メーカーとしても、興隆しつつあるインドEV市場の成長を取り込むべく、攻略の道筋を描く必要がありそうだ。

 インドの自動車市場は、急速に変化を遂げている。市場が未成熟であった頃に参入したMarti Suzukiは、強力な競合が存在しない間隙を突き、市場シェアの半分を占めるポジションを築いた。しかし、近年は、SUV市場の成長の波に乗り遅れ、シェアを40%超にまで落としている。

 EVに関しても、市場の成長スピードは目覚ましく、かつてのICE車市場とは異なり競合も多い。しかも、EVは、必ずしも日系メーカーが競争優位性を有する領域でもなければ、プラットフォームを活用すれば、新興企業でも参入し易い。

 今後、世界的に自動車のEV化が進んで行く中で、世界第3位の市場であるインドをどう攻略するか、考えるべきタイミングに来ている。

著者プロフィール:伊澤範彦

ローランド・ベルガー プロジェクトマネージャー

東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻修了。

ローランド・ベルガーでは、自動車・デジタル領域を中心に、戦略策定・企業変革・クロスボーダーM&A・買収後統合等、幅広いテーマをご支援。

海外の先進ビジネス・スタートアップに関する記事執筆・講演多数。


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