迷っている皆さんに、これからの営業部長の戦い方ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2024年03月28日 07時01分 公開
[北澤孝太郎ITmedia]
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 今でもセールス行為(契約やその成立に向けた交渉など)は、営業行為の大切な一部ですが、多くのものは、供給過多の時代になったのですから、それを扱う人は、消費者に主導権が移ったことを認識し、セールス行為より好印象を与えたり、顧客の成功にかかわることが重要になったと考えます。

 つまり、本来のビジネスの状態に戻ったと認識すればいいのです。だからこそですが、営業に求められるものは、顧客もそれを取り巻く者やこちらサイドも納得して腹落ちできる相互の満足(それぞれの心配や憤りを解決できる行為、知識、能力)を引き出すことに変わっています(戻ったとも言えます)。これを私は、ビジネスメイキングという言葉で本書でも繰り返し著しています。今こそ、営業パーソンは、単純なセールス行為をあらためて、ビジネスメイキングができる人材に変わらないといけないのではないでしょうか

これから営業の責任者になる皆さんへのメッセージ

――これから営業の責任者(多くは営業部長)に何か言いたいことはありますか。

 自信を持ってください。ビジネスにおいて、一番実力があるからこそ営業部長になったわけですから、これからもビジネスの最前線で仕事をしてください。この書を読んで、あなたのやるべきことさえはっきりしたら、間違いなくあなたが組織を引っ張っていくのです。ビジネスの最前線にたち、外部統合を繰り返してイノベーションのネタを社内に持ち込む、そして内部統制ができる営業課長を育て、彼らに委譲できるまでの間、自身が役員になったらこれをやるあれもやるというものを探しながら、会社の代表として頑張って下さい。

 間違っても、大課長にならないように。そして、調整役としての管理職にならないように。コンプラ委員長という汚名を着せられないように。あなたの成長こそ、皆のモチベーションの源であり、その成長の仲間意識こそが、コミュニケーションを活性化させるということを忘れないように。

 あなたが、その組織で一番人がやりたがらないことを引き受ける(陰徳を積む)存在であるように。そして、いつまでもその会社のビジネスの先頭打者としてのレギュラー(代表選手)である実力と名誉を守ってほしいと思います。

――本書の狙いと込められた「思い」について教えて下さい。

 自身の経験でも、営業課長になったときは、なんとなく何をすればよいか分りましたけれど、営業部長になったときは、何をすればよいか全く分らず、とても困りました。その結果として、そのときの部下だった人には、ものすごく迷惑をかけたような気がしています。

 もっと事業運営をうまくやれたのではないか、もっとみんなが成長できるように寄り添えたのではないかと、今思い出しても歯痒さで一杯です。まして、昭和のイケイケドンドンの時代から、ものすごく繊細に考えないといけない時代の転換点に、新しくその役職に着く皆さんは、とても困るに違いない。周りを見渡しても、先生になってくれるような上司も見つからないのではないか。

 だからこそなのですが、彼らが何をすればよいか、少なくとも多少の筋書ができるような本を出して、応援歌としたいという「思い」で、この本を書きました。書き方は、論理的な内容を理解するのが得意な人には本文を、また情緒的な内容がないと理解が進まないという人には、寺山真司の奮闘記をという二段構成にしており、普段あまり本は読まなくても理解が進むような構成にしています。

著者プロフィール:北澤孝太郎

1962年京都市生まれ

1985年神戸大学経営学部卒業後、株式会社リクルート入社。20年に渡り、通信、採用・教育、大学やスクール広報などの分野で常に営業の最前線で活躍。採用・教育事業の大手営業責任者、大学やスクール広報事業の中部関西地区責任者を担当後、2005年日本テレコム(現ソフトバンク)に転身。執行役員法人営業本部長、音声事業本部長などを歴任。その後、モバイルコンビニ株式会社社長、丸善株式会社執行役員、フライシュマン・ヒラード・ジャパン株式会社 VPなどを経て、現在に至る。

営業幹部(役員や部長)や営業リーダーの教育の第一人者であり、営業イノベーションなどの分野でも、研修やコンサル、パーソナルコーチなどに多くの実績を持つ。特に優れた営業戦略・戦術を導く「北澤モデル」は多くの企業で活用されている。

著者にベストセラーになった「営業部はバカなのか」(新潮新書)、MBAクラスや多くの企業研修の教科書「営業リーダーのための教科書〜営業戦略・戦術から人間力構築まで〜 」(東洋経済新報社)、人材教育のオリジナル参考書「人材が育つ営業現場の共通点」(PHP研究所)、営業力が必要な全てのビジネスパーソンのトレーニング書「営業力 100本ノック」(日本経済新聞出版社)、「まんがでわかる営業部はバカなのか」(ゴマブックス)、「マンガ営業力100本ノック」(日本経済新聞出版社)、営業現場から企業や日本を正す「『場当たり的』が会社を潰す」(新潮新書)、人生の岐路で決断の参考になる「サラリーマン人生100本ノック プロとして働くためのトレーニング」(日本経済新聞出版社)、授業やの教科書として使用されている「MBAクラスの営業の教科書」(徳間書店)、これからの営業部隊の在り方の指南書「決定版、営業部長の戦い方」などがある。


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