わたしたちは生きていく上でも、ビジネスにおいてもさまざまな意思決定を行なっていますが、人はどうしても感情に引っ張られて「何となく」判断してしまいがちです。感情で動くことも感覚で決めることも悪いことではありません。ビジネスに勘やセンスを生かすのは重要なことです。しかし、その前に数字がなければなりません。
最初に数字を使って「定量的」に問題にアプローチしなければ組織がまとまらず、スムーズな意思決定ができず、失敗を次に生かすこともできません。商品やサービスが少なく市場規模自体が右肩上がりだった時代は、意思決定にそれほど気を使わなくて済みました。とにかく他社よりも早く行動していれば売り上げを伸ばすことができました。
しかし商品もサービスも飽和状態で、消費者の価値観やニーズが多様化・複雑化している現代においては、何をどう決めるかがとても重要になってきます。狙いが少しずれただけで、まったくと言っていいほど売れない商品が簡単にできてしまう今、意思決定の精度をさらに高めないと、組織が生き残っていくことは難しいと言えるでしょう。
精度の高い意思決定の要諦は、一言で言うと、「定量的な分析をしてから、定性的な分析をする」という順番を守ることです。ビジネスにおけるあらゆる判断、意思決定において丁寧にこのやり方を徹底していくことによってのみ、過酷な競争社会の中で少しずつ抜きん出ていくことができるのです。
株式会社InspireConsulting代表取締役社長。1977年、和歌山県生まれ。 95年、慶應義塾大学経済学部入学。2001年、国税庁入庁。東京国税局へ配属になり税務調査を担当。05年、東証一部上場企業へ入社。在籍した4年弱の間に13のプロジェクトを成し遂げる。07年にはグループ会社全体の営業利益の3分の1(約63億円)を計上する子会社の取締役に就任。08年、経営全般に関するコンサルティングを行なう株式会社InspireConsultingを設立。クライアントは、システム開発業社・建築設計業社・飲食業社・輸出入業社他、多数。講師をするセミナーは年間に50回以上。著書に『元国税が教える 会社を救う!5つの社長力』(ビジネス社)、『経理以外の人のための日本一やさしくて使える会計の本』(ディスカヴァー携書)、『文系ビジネスマンでもわかる数字力の教科書』(大和書房)がある。
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明治学院大学 経済学部准教授