チームに貢献するメンバーを育てるビジネスマンの悩み相談室(2/2 ページ)

» 2012年09月18日 08時00分 公開
[細川馨(ビジネスコーチ),ITmedia]
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マネジメントは何をすべきか

 それでは、「チームに貢献する」という体制を作り、選手の力を引き出すのは誰の仕事であろうか。そのきっかけを与えるのは、スポーツであれば監督やコーチ、ビジネスではマネジメントが行うべきことである。

 実際には監督やコーチはどのようなことを実行しているのだろうか。

1、分析

 まずはチームメンバーをじっくりと観察し、分析する。性格や特性を把握する。同じことを言っても選手によって捉え方は異なるので、どんな言い方をしたら響くのか、理解する必要がある。

2、分析したものを科学的に考える

 分析したうえでどのように伸ばしていけばいいか、科学的に考え、トレーニングする。

3、メンタル面でサポートする

 選手たちは極限の状態で勝負していて、メンタル面でのサポートが欠かせない。努力する選手たちが本番で能力を発揮できるように、精神的な支えとなり、的確にアドバイスをする。

4、ストレッチした目標を掲げる

 努力をしても成果を残さないとチーム力が伸びていかない。ストレッチした目標を与え、それをクリアしていく。仲間と一緒に達成感を味わい、スーパーチームができる。

 ビジネスでもこれは全く同じではないだろうか。チームメンバーを分析し、それを科学的に捉えてどのように闘うか戦略を練る。メンタル面でサポートし、ストレッチした目標を掲げ、達成感をチームで味わうようにする。

 「みんなのため」「組織のため」となる仕組みを作る。個人の能力を発揮させながらチームに貢献させる―これがリーダーのすべきことである。組織を変えるとなるとリストラに向かいがちだが、リストラだけではだめで、リストラの100倍、浮上するプランが欠かせない。未来を創る、未来創造型の思考は人の力を発揮させるのである。

 日本人のチームワークは素晴らしいし、個々の能力も決して劣っていない。ただ、優秀な個人に能力を発揮させてチームに貢献させる、それを実行できるマネジメント能力が乏しいと言わざるを得ない。

 リーダーに必要なことを考えてみよう。

 1、世の中の方向性をよく見る:世の中がどんな流れになっているかを把握する。

 2、自分の会社を見る:自社を分析し、自社の強みを考える。

 3、チームメンバーをつくる:適切なチームメンバーを選ぶことも欠かせない。

 4、主要なプロジェクトを走らせる:プロジェクトを走らせながら、適宜軌道修正する。

 5、仲間を巻き込み、必ずやりとげる:仲間を巻き込み、必ずやり遂げ、小さな成果を積み重ねていく。

 リーダーは外に目を向け、世の中の流れを読む力を養う。日本人の最大能力はチームワークであり「for the team」精神の大切さを今回のロンドンオリンピックを通して再認識した。その精神をビジネスの現場でもぜひ生かしてほしいと願っている。


著者プロフィール

細川馨(ほそかわ かおる)

ビジネスコーチ株式会社代表取締役

外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。「ビジネスマンの悩み相談室」は電子書籍でも配信中。「自分は頑張っていると主張する部下に悩む上司」「ぬるい部下に悩む上司」「若い人には横から目線で共感する」(各250円)



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