本音は言ってもいい?ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2016年05月26日 08時00分 公開
[西任暁子ITmedia]
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本音の伝え方

 そんな本音のコミュニケーションの第一歩は、自分の本音に気づくこと。自分の本音に気づけると、相手の本音も想像できるようになります。相手が、感情的に話したとしても、その言葉の奥にある本音を感じられるようになるのです。

 そのときあなたは、同じように感情的になって言い返すのではなく、落ち着いて話をすることができるでしょう。それだけではなく、相手の言葉の奥に潜む本音を、質問しながら引き出す会話だってできるようになります。

 また、自分の本音に気づくことができたら、それを相手に伝わりやすい言い方で伝えることも可能になります。そのとき言葉にしたい要素は4つです。

  • Observation(観察)
  • Feeling(感情)
  • Needs(ニーズ)
  • Request(リクエスト)

 頭文字を取って、OFNR。これらの要素を言葉にして伝えます。

 先ほどの、「何度言ったら分かるんだ」と言いたくなった状況で考えてみましょう。OFNRなら、こんな伝え方になります。

O:君が、先週と同じミスをするのを見て、

F:僕は、すごく悔しくて苛立つ気持ちになったよ。

N:君の成長を心から願っているんだ。

R:君は、今回のミスに関して、どう思っているか聞かせてくれないか?


 こんな事実を観察(O)して、こんな感情(F)になったよ。なぜならこんなニーズ(N)を大切にしているから。そこでよかったらこんなリクエスト(R)に応じてもらえないだろうか?

という順番です。

 これまで、ビジネスシーンにおいては、感情を口にすることが良しとされなかったかもしれません。でも人間は頭だけでは動かない、感情で動く生き物です。

 自分が何を大切にし、どんな気持ちなのかを言葉にできたら、社内の人間関係はもちろんのこと、社外の関係性も質を変えていくでしょう。

 そのためにはまず、自分が真に求めている本音に気づくこと。そして、相手が語る言葉の奥に潜む本音を聞き取ること。さらに、気づいた本音を、相手が受け取りやすい言い方で伝えること。

 表面的な雑談ではなく、本音を語り合えるコミュニケーションの先には、強い信頼で結ばれた人間関係が待っているのではないでしょうか。

著者プロフィール:西任暁子

U.B.U.株式会社 代表取締役  

大阪生まれ、福岡育ち。アメリカへ高校留学した後、慶應義塾大学総合政策学部に入学。

在学中からFMラジオのDJとして第一線で活躍。国内外の著名人5000人から本音を引き出すインタビューを経験するなかで、話し手・聞き手両方の立場から「わかりやすく伝える方法」について探求を重ねてきた。

独立後は「話し方の学校」を開校し、2年半に渡って学長として指導。現在は、スピーチやファシリテーション、コミュニケーションを軸に企業のリーダー育成に従事するほか、クリエイティブ・リーダーシップ養成講座を開講。人間の創造性を最大限に引き出すメソッドが各方面から高い評価を得ている。

MCを務めるポッドキャストプログラム「マンツーマン英会話Gaba Gstyle English シチュエーション別英会話」は、毎月700万ダウンロードを超え、「iTunes Rewindオールタイム ベストビデオ Podcast」を3年連続受賞。

また、歌手としても活動し、「言葉」と「声」の表現力を磨き続けている。

著書に『「ひらがな」で話す技術』(サンマーク出版)、『話すより10倍ラク!聞く会話術』(ディスカヴァー)、『本音に気づく会話術』(ポプラ社)


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