部下が、やる気がないとイラッとするビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2016年06月09日 08時00分 公開
[中谷彰宏ITmedia]
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怒ると、疲れる。マニュアルをつくっている間は、疲れない。

 感情的になると、非合理的な判断や行動をしてしまいます。理由は簡単です。脳が疲れてくるからです。感情的になると、最初は怒り、次に落ち込みます。怒ることによって、脳のエネルギーを消耗します。

 脳がガス欠になると、考えが浮かばなくなって、落ち込むのです。怒ったり、へこんだりすることで、波を生み出します。

 例えば、部下が何回言っても同じ間違いを繰り返します。

 上司が「何度言ったら分かるんだ」と怒ると、ミスした部下は「2度とこのようなことがないように気をつけます」と言って謝ります。

 気をつけなくていいのです。気をつけなくてもミスが起こらないマニュアルをつくるのが、上司の仕事です。

 それでもまた同じミスが起こったら、またマニュアルをつくりかえます。「前に書いたマニュアルを徹底しろ」と言うと、感情的になってしまうのです。

 「部下はミスをすることもある」と言う上司は、「ミスをしないこと」を期待してイラッとする。部下がミスをすると、上司はイラッとします。

 「部下はミスをすることもある」ということは、上司も分かっています。この発想では「部下はミスをしないこともある」という期待感が残ります。「ミスをしないこともあるのにミスをした。どういうこと?」と、イラッとするのです。

 感情的にならないためには、「部下は必ずミスをする」という発想に変えます。必ず起こることが起こっただけなら、イラッとすることはありません。

 部下のミスを防ぐ仕組みをつくることが、上司の仕事です。

 「部下は必ずミスをする」と言うと、性悪説にのっとっているようで、なんとなく冷たく感じます。「冷たいか冷たくないか」の本当の意味は、「感情的になるかならないか」ということです。

 最初から「部下は必ずミスをするものだ」という発想でいると、結果、部下に優しく接することができます。

 性善説の人のほうが、圧倒的に感情的になりやすいのです。「私は部下を信じています」と言う人は、それが裏切られると、ぶちキレます。

 性善説の本当の意味は、「部下はマニュアルをつくると、ミスをしない」「部下は必ずミスをするけど、必ず生まれ変わる」ということです。

 ここで「なかなか生まれ変わらないんですけど」と言う人が出てきます。生まれ変わるには時間がかかるのです。

 部下は必ず生まれ変われます。

 それまで、上司は感情エネルギーを省エネして、継続することが大切です。

著者プロフィール:中谷彰宏

作家

1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。

【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。

著作は、『なぜあの人は感情的にならないのか』(ダイヤモンド社)など、990冊を超す。


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