私の答えは、「受けたボールをすぐに投げ返す」だ。こうすれば、ボールを床に落とさないで済む。
このことは仕事にも応用できる。仕事が山積みになってしまうのは、仕事を依頼されたとき、受けた仕事をそのまま放置してしまうからだ。仕事は、受ける瞬間が勝負だ。受けた瞬間に仕事をさばく努力をすることで、仕事が山積みになる確率を小さくすることができる。
これが、第1のゼロ思考「ボール=0」だ。「ボール」とは「あなたに振られた仕事」であり、「ゼロ」は「ゼロにする」、「極限まで少なくする」ことを意味する。したがって「ボール=0」は、「仕事をゼロにする」、つまり「仕事を持たない」、「仕事を受けたらすぐ離す」ということだ。分かりやすいイメージとしては、依頼された仕事を抱えずに、次から次にどんどんさばいて相手に返していくという感覚だ。
あなたが「ボール=0」〈ボール(仕事)を受けたらすぐ離す〉を実践できているかを計るバロメーターとして、次の2つの言葉がある。1つ目は、「あの仕事どうなった?」という言葉だ。この言葉を言われた段階で、あなたの仕事は依頼主の想定より遅くなっている。より危機感を持って仕事に取り組まなければならない。2つ目は、「もう終わったの?」という言葉だ。これは、逆に、あなたの仕事が順調に進んでいる証拠となる。
「あの仕事どうなった?」と言わせてはいけない。「もう終わったの?」という言葉を集めていけば、職場で誰からも「仕事が速い」と一目置かれることになるだろう。
「働いてはいけない時代」の到来は、ビジネスパーソンにこれまでとは異なる働き方を要求することとなった。土日出勤をして、徹夜で働き、「根性」で仕事をこなすことは、もはや許されない。2014年、発売当時「24時間、戦えますか」とうたったリゲインのキャッチコピーは、新商品「リゲイン エナジードリンク」発売に際して「24時間戦うのはしんどい」、「3、4時間戦えますか」へと変貌した。
現代では、やるべきことをしっかり見極め、効率よく最速で結果に向かっていくことが求められている。しかし、このことは当然ながら悪ではない。「限られた時間で結果を出す」という本来あるべき姿へと社会が進化したのだ。
これまで、「仕事の山積み」を解消する第1のゼロ思考「ボール=0」〈ボール(仕事)を受けたらすぐ離す〉について述べてきた。残り6個の「ゼロ」に関しては、拙著「7つのゼロ思考(ぱる出版)」を参照してほしい。「働いてはいけない」時代の働き方に関して、ビジネスパーソンの新しい「思考のOS(オペレーティングシステム)」となることを願っている。
京都大学経済学部卒業。ビジネス評論家。日系大手金融機関勤務後独立。ビジネス誌『プレジデント』や『日経ビジネス アソシエ』などメディア掲載多数。近著に、『7つのゼロ思考』(ぱる出版)、『僕が無料の英語マンガで楽にTOEIC900点を取って、映画の英語を字幕なしでリスニングできるワケ』(扶桑社)がある。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授