短時間で確実に成果を出せる、トップセールスの営業手法とはビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2021年03月11日 07時09分 公開
[伊庭正康ITmedia]
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 では、オンラインの商談に誘導するための「コールド・メール」には、「サービスのサンプルが分かるURL」「具体的なメリット」「オンラインへの誘導」が記載されています。

「ニーズを生み出す」ヒアリング力を身につける

 御用聞きでは、営業は務まりません。訪問でも、オンラインでも商談成功の鍵はヒアリングです。営業現場では「ニーズがなかった」といった言葉が飛び交います。

 でも、それでは不十分で、その半歩先に「チャンス」があるのです。ここをとらえないと、御用聞きになってしまします。「ニーズ」はあるのではなく、「ニーズ」は作るもの、そう考えてください。

 景況に左右されず、業績を確実に出す、営業マンがやっている「ヒアリングの4ステップ」を覚えておくといいでしょう。4つの各ステップにおけるポイントを整理しましょう。

Step1:状況を知るステップ

 お客さまの状況を伺うステップ。

  • 答えやすい質問からすること。将来のことより「過去または現在」の状況を聞くほうが答えやすい。
  • 聞く内容は、「購入・利用状況」「他社サービス利用の有無」「その会社のサービスを選んだ判断基準」「利用してみての評価」「今後の予定」「検討いただく余地の有無」など。
  • 「今は用事がない」と言われても、ここで、対抗トークを展開しないこと。ひたすら聞くのみ。「4つのステップ」を聞き終わるまでは言わない。

Step2:問題を知るステップ

 お客さまのお困り事を教えてもらうステップ。“分かっていても、分からないスタンス”で教えてもらうスタンスでヒアリングにのぞむ。「差し支えなければ、教えていただいても、よろしいでしょうか?」など、の切り口でStep2のヒアリングに入ります。

  • 状況を聞いた際、ニーズがなかったとしても、「もっと、こうなったらいいと思う理想」を考えてもらう。「10点満点で何点?」「あるとしたら?」と聞くと教えてもらいやすい。
  • 教えていただいたら、その後は「どんな状況?」「どうして、そうなっている?」「どのようになればいい?」など、質問を展開し、話してもらう。

※補足※

 「特に問題はない」と言われてしまった時のアプローチ。そんな時は、聞き方を変えてみてください。「サービス面では?」「環境面では?」と対象を絞って、聞いてみてください。「分かりにくい質問で失礼しました。サービス面で、もっとこうなったら、と思うことはないでしょうか?」と。このようにお客さまが、答えにくい時は、「サービス」か「今の状況」を切り口に尋ねるといいでしょう。

  • 「サービス面」の不……コストを抑えたい、取り扱いが簡単だといい、効果が見えにくい、など
  • 「今の状況」の不……会社なら売上を増やしたい、人不足を解消したいなど。個人なら、もっと生活レベルを上げたい、もっと、成長したい、など。このように、お客さまに「問題に気付いてもらう」ことも、営業マンの介在価値の1つです。

Step3:リスクを知るステップ

 次に「解決できないとどうなるのか」をお客さまに考えてもらう。このステップは、お客さまの問題の「緊急性」を確認してもらう(気付いてもらう)ために行います。

  • 聞きにくい質問になるので、クッション言葉を使うことがおすすめ。「当たり前のことを聞くことをご容赦ください。もし、その問題が解決できないと、どのような状況が想定されるのでしょうか?」

Step4:提案の合意を得るステップ

 最後に、「解決策をご提示できると存じますが、いかがでしょう?」とヒアリングの「プレゼンテーション」の合意を得る。

  • 提案の合意を得る。「問題を解決する方法をお話できます。もし、よろしければ、いかがですか?」この流れだと、最初はニーズがなくても、ヒアリングを通じて、ニーズをつくることができるのです。

 ぜひ、ヒアリングで気付きの機会を提供してみてください。

まとめ

 一流の営業が売っているのは「商品」ではありません。お客さまの課題に対する「解決策」を提案する意識にシフトしておきましょう。

 実は、提案にはレベルがあります。

提案の3レベル

  • Level1:自社商品の「性能・機能」を提案 (商品案内のレベル)
  • Level2:「他との違い」を提案(まだ、不十分)
  • Level3:「お客さまにとっての利益(問題解決など)」を提案

 提案すべきは、レベル3の「商品を通じて、お客さまが得られる利益」です。その意味でも、紹介したメソッドが役に立つとうれしいです。

著者プロフィール:伊庭正康

1991年リクルートグループ入社。求人事業の営業に配属。全国年間を通じてのトップを4回、累計40回以上、トップセールス、トップマネジャーとして表彰。その後、営業部長、関連会社の代表取締役を歴任。

2011年、研修会社「らしさラボ」を設立。「らしさ」を生かし、営業力強化、リーダーシップ、フォロワーシップ、タイムマネジメント、ストレス対策の研修・講演・コーチングを実施。企業研修には、約年200回の登壇をし、そのリピート率は9割を超える。

また、誰もが受講できる世界5000万人が受講するWebラーニング「Udemy」でも営業を始めとしたコンテンツを提供。ベストセラーコンテンツとして紹介されている。

著書に『できる営業はこれしかやらない(PHP研究所)』『できるリーダーは、「これ」しかやらない (PHP研究所)』『目標達成するリーダーが絶対やらないチームの動かし方(日本実業出版)』『結果を出す人がやっている! 仕事を「楽しくする」方法(明日香出版)他多数の書籍がある。日本経済新聞、ビジネス誌から女性誌まで、幅広くマスコミでも紹介される。無料メールセミナー(全8回)「らしさラボ無料メールセミナー」、YouTube:研修トレーナー 伊庭正康の「ビジネスメソッド」も好評。


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