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» 2022年07月19日 07時02分 公開

ミシュラン一つ星「天ぷら元吉」が次のステージへ、恵比寿に移転オープンタイムアウト東京のオススメ

東京の街の“ローカルエキスパート”が、仕事の合間に一息つけるスポットやイベントを紹介します。

[タイムアウト東京,ITmedia]

 旬の食材を味わいながら季節を体現する名店「天ぷら 元吉」が、2022年5月恵比寿へ移転オープンしました。店主の元吉和仁は移転の理由について「自身の年齢に(青山の)店舗が合わなくなったからだ」と言います。50〜60代になっても営業を続けられるような「本物の設えを備えた場所を作りたい」という思いから、移転を決意しました。

Photo: Kisa Toyoshima

 新築の店内には、6.5メートルの一枚板の天然木で作られた8席のカウンターが広がり、頭上には店主が自ら生けた新緑が伸びています。日本特有の四季を演出した空間へのこだわりは、まさに五感で楽しむ贅沢な空間です。店内からガラス越しに眺められる中庭には、滋賀と京都から取り寄せたナツハゼとモミジが植えてあり、都会の喧騒(けんそう)を忘れさせてくれます。

Photo: Kisa Toyoshima店内からガラス越しに眺められる中庭

 「天ぷら 元吉」の最も素晴らしい点は、言うまでもなく天ぷらです。食材を包む衣には「服」のような役割があり、それぞれの素材が持つうま味や香りを最大限に生かすために「薄目」「中間」「濃い目」に着せ替えています。衣に使う水は、火が通りやすいものには弱酸性、長く揚げる場合は中性と使い分けています。その後、液体窒素を足してサラサラにした小麦粉を加えます。この、食材ごとにテイラーメイドした口当たりの軽い「服」こそが元吉の真骨頂でしょう。菜種油、コーン油、ごま油を混ぜた油は、素材の味が隠れてしまわないように絶妙なバランスが計算されています。その中で揚げる衣は、的確に温度管理をしながら2層で硬さを調整。そのため「温度とタイミングが命」といわれており、同店の天ぷらは提供されてからすぐに食べるのがマナーです。

Photo: Kisa Toyoshima「巻海老の天ぷらレア」

 メニューは「おまかせコース」(2万4000円から)のみ。旧店舗時代から構成は変わりません。まずはシグネチャーである車エビ2種類から、前日の仕込みにペーパーナプキンを2種類使うなど細かな点まで徹底し、一晩寝かすことで身を引き締めます。アーチ状に仕上げるためには包丁の入れ方や油に流す際の所作まで、全てが勝負です。旬のコースなので時期によって内容は変わりますが、訪れた6月ごろは、このほかにアスパラ、ヤングコーン、新じゃがいも、ペコロス、新タマネギ、レンコンといった野菜と、キス、タチウオ、アナゴ、「ウニと大葉」などの旬の魚介の天ぷらが提供されました。

Photo: Kisa Toyoshima同店の名物の一つである「ウニの大葉乗せ」

 伝統を守りつつ、新しいテクニックを組み込んだ調理法は、YouTubeチャンネル「天ぷら教室」でも配信しています。「誰でも天ぷらが簡単に作れるようにしたいんです」と元吉は語ります。「北風」と名付けられた「猫舌対策冷却機」を含む温度管理器具まで発明し、数多くの特許を取得しています。元吉の研究への飽くなき情熱と天ぷらへの思いの強さは、動画を見ればすぐに伝わってくるでしょう。

 いただく命への感謝、生産者への感謝、その食事に関わった人たち全てへの感謝で心満たされる極上の一軒です。 来店は完全予約制、1カ月先まで電話で受け付けています。気の行き届いた極上の空間で、食の喜びを感じてみてはいかがでしょうか。

 また、『ミシュラン一つ星「天ぷら元吉」が次のステージへ、恵比寿に移転オープン』では、同店についてより詳しく紹介しています。ぜひチェックしてください。

著者プロフィール:タイムアウト東京 編集部

タイムアウト東京は、ロンドンを中心に、ニューヨーク、上海、クアラルンプール、テルアビブ、アムステルダム、シドニーなど、世界108都市39カ国に広がるメディア、タイムアウトの東京版です。「本当に素晴らしいものは、世界のどこであれ誰であれ感動を与えてくれる」という考えの下、日本の優れたヒト、モノ、コト、コンテンツ、サービスを英語・日本語のバイリンガルで発信しています。


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