対話のタイムパフォーマンスをあげる3つのコツビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2023年04月06日 07時05分 公開
[理央周ITmedia]
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 マネジメントするうえで、チームの目的や目標、行動指針などの重要なことについては、「年度初めに1度伝えたから分かっているはず」と考えるのではなく、折に触れて何度も繰り返して伝えましょう。言わなくなると、部下は重要でないことと考えたり、場合によっては忘れたりする懸念もあります。

 任されている組織やチームにとって、なにが最も大事なのかを見極め、それを伝えるための言葉に磨きをかけましょう。そして、その大事なことを、効果的に部下に伝えることが重要です。同じ時間をかけるのですから、相手の記憶に深く刻み込めるように工夫してタイパをあげましょう。

部下の話を「フロー情報」から「ストック情報」に変換する

×:部下の話を聞くときにメモしない

〇:部下の話を聞くときにメモする


 情報は、「フロー情報」と「ストック情報」に分類できます。フロー情報とはその場かぎりの「流れていく情報」、ストック情報はあとから参照・活用できる「蓄積される情報」のことです。フロー情報をストック情報に変換する方法がメモです。

 なかには、「メモしないと忘れるような情報は、その程度の情報だ」と言う人もいます。「たしかに」と思うかもしれませんが、必要なポイントを判断する嗅覚と記憶力が人一倍鋭い、この種の天才肌の人は、それほどたくさんいません。実際、私の周りの「成果を出す経営者」はメモ魔です。素直にメモすることをおすすめします。

 メモをする目的は、ストックした情報をあとで加工して「価値」を生み出すことです。

 私がクライアントと面談するときには、A4用紙を用意しメモをとります。提案に生かせる点は◯、確認が必要なことに□、そしていちばん大事な対話での「気付き」 に☆をつけます。対話で出てくる情報は、あくまで断片にすぎません。大事なのは、 この断片をつなぎ合わせて「自分のアイディアや意見」を出すことです。なので、自分の直感をあとで整理できるようにメモしていくのです。このメモをもとに、クライアントに提案する戦略と施策を資料としてまとめていきます。

 あなたは、1on1や面談などで部下と話すときに、メモをとっているでしょうか?

部下に何かを教えるときに、メモをしていなければ「大丈夫かな?」と心配になった覚えのある人も多いでしょう。これは、部下から上司を見たときも同じです。メモをとる上司の姿を見れば、部下は「話を聞いてくれている」と安心しますし、信頼を強めるはずです。

 メモは、読み返して活用することによって、成果につながる「ストック情報」になります。質的な生産性を引きあげる武器として活用していきましょう。

「コミュニケーションコストの高い上司」になっていませんか?

×:コミュニケーションコストが高い

〇:コミュニケーションコストが低い


 あなたは「コミュニケーションコスト」について考えたことがありますか?

 コミュニケーションコストとは、相手が考えていることを推測したり、タイミングを見計らったり、相手への気付かいのことと考えれば分かりやすいでしょう。

 不機嫌な人はコミュニケーションコストが高く、ご機嫌な人はコミュニケーションコストが低いといえます。不機嫌な人は、周囲の人が話しかけるのをためらってしまうので、 報告やアドバイスなどの情報がタイムリーに集まりづらくなってしまいます。また、社内に限らず、初対面などではとっつきにくい印象を与え、不利になってしまうこともあるかもしれません。

 反対に、ご機嫌な人は、人から話しかけてもらいやすく、情報も集まってきやすくなります。いい提案も生まれてきやすくなる でしょう。

一般的に職位や年齢が上がるほど、気をつかわれるようになるため、コミュニケーションコストは高くなる傾向にあります。コミュニケーションコストをさげるには、きちんとあいさつをする、笑顔でいる、人の話をきちんと聞く、気軽に声をかける、 お礼を伝えるなど、すぐにできることが数多くあります。他人とくに部下から自分がどう見えているかについても意識しましょう。

著者プロフィール:理央周(りおう めぐる)

マーケティングアイズ株式会社代表取締役 本名:児玉 洋典。1962年生まれ。 静岡大学卒業。大手自動車部品メーカー、フィリップモリスなどを経て、米国インディアナ大学にてMBA取得。アマゾン、 J:COM、マスターカードなどで、マーケティング・マネジャーを 歴任。2010年に起業し翌年法人化。収益を好転させる中堅企業向けコンサルティングと、顧客視点を育てる社員研修を提供。元・関西学院大学専門 職大学院経営戦略研究科教授。『売れない問題 解決の公式』『「なぜか売れる」の公式』(ともに日本経済新聞出版)、『仕事の速い人が絶対やらない時間の使い方』(日本実業出版社)など著書多数。


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